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嵐の前2
仕事を終えた透は、いつものように彰広に連絡を入れた。
今夜は遅くなるから先に飯を食って家で待っていろと言われた。
ここ数日、彰広は忙しいようで、透が日を改めようか? と聞くと「ふざけるな。気絶するまで抱かせろ。逃げんじゃねぇぞ」と、甘く脅された。
彰広が仕事でどんなことをしているかは聞いていない。 彰広も敢えて話さない。
透にとって彰広は昔と変わらないように思えるが、裏社会の人間なのだ。
透とは住む世界が違いすぎる。
───このままの状態がずっと続く……とは、いかないんだろうけど。
お互いの家を行き来し、週末を一緒に過ごす。 今はこの関係を続けたかった。
透は近所のいつもの居酒屋で軽く晩飯を済ませ、タクシーで彰広の部屋へ向かった。
やっぱりまだ彰広は帰っておらず、部屋には誰もいない。
透は先に風呂に入ることにした。 何度かプール当番の日があったので、透の肌は日に焼け、水着の跡が残っていた。
白く残された水着跡の肌を、彰広に「エロいな」と、散々言葉責めされたのを思い出す。
ことあるごとに彰広を思い出してしまう。 熱に浮かされた未熟な未成年みたいに。
透は自分の感情を持て余し、シャワーの湯を水に切り替えた。
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