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決壊1

  今までは週に何度か彰広と晩飯だけでも一緒にしていたが、今週はそれも無理なようだった。 透はいつも通り仕事をし、家に帰る生活を送っていた。 半年前までは当たり前の生活だったのに、一人の部屋を少し寂しく感じる。 今日はいつもの居酒屋で晩飯をすまそうと思っていると、彰広から今夜は透の家に行くと連絡があった。 深夜になるかもしれないと言っていたが、構わないと答えた。 透は憂鬱だった気分が浮上するのを感じた。 さざ波のように、「嬉しい」という思いに心かま満たされていく。 ほんとに……中学生かよ、俺は。 単純な自分に苦笑いをして、軽い足取りで居酒屋へ向かった。 いつもの居酒屋へ行くと、前田と上田が来ていた。 「先生。こんばんは」 「あ、こんばんは」 「透ちゃんせんせ~! こっち座りなよ」 席に呼ばれて、前田達と一緒に晩飯を食べることになった。 上田は相変わらず透に懐いている。彰広に嫉妬された日のことを思い出し、透は一人赤面した。 「透ちゃん先生、彼女できた?」 「えっ? いや、残念ながら独り身です」 「え~。ほんとに~?」 上田はしきりに色気がどうとか言っている。 ───こいつもか。 そんなに自分は変わったのだろうか? 山口にも言われていたが、特に髪型も服装にも変化はないし、自分では分からない。 自分を変えたとしたら、彰広なのだが……。 「あら~! 黒ちゃん先生。お久しぶりやないの~!」 「えっ」 奥さんの声に入口を見ると、入ってきた客は黒田だった。     

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