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決壊3

  透が目覚めたとき、見知らぬ部屋にいた。 生活感の無い、空虚な部屋だ。 朦朧としたまま起き上がろうとして、体が動かないことに気付いた。 「……ッッ!?」 背中に直接、シーツの感触がある。 衣服を取り去らわれ、全裸にされているのだ。 両手首と足首は黒皮の拘束具が嵌められ、大の字でベッドに拘束されていた。 「……はッ……ァ!?」 ステンレス製の開口器を口に嵌められて、強制的に開かされていた。 ───な、なに!? なんでこんなっ!? 「目が覚めました? 中山先生」 「……ッ!!」 びくっとして声のする方を見ると、黒田がベッドサイドに立っていた。ドロリとした沼のような眼差しで透を見ている。 ───こいつ! また、こんなことを……!! 「……あ、ぁ!……ッ!!」 開口器具で開かされたままの口では言葉を発することもできず、透は黒田を睨みつける。 黒田は何も言わず、つ……と、指先で透の素肌をなぞった。 「はっ……!?」 その触り方に透は鳥肌を立てる。 レイプするつもりなのだろうか。 前回とは違って、ここは密室だ。 裸で拘束され、満足に抵抗もできない。 彰広もいない。 逃げられないという現実に、透の目に絶望が宿る。 だが、黒田の手はすぐに離れた。 透はほっとしたが、黒田は後ろを向いて何かを手に取り、すぐに戻ってきた。 黒田の手には茶色の小瓶があり、蓋を開けスポイドで液体を吸い上げた。 何も言わない黒田を不気味に思い、何をされるか分からず、透は怯えた。 そんな透の心など無視して、黒田は片手で透の顎を掴み、固定した。 「あ、あ……!?」 スポイドで吸い上げた液体を、開きっぱなしの透の口の中に数滴落とした。 「かはッ……は、あ!」 喉に直接落とされた液体に、透は恐怖で目を見開く。 何かも分からない、得たいの知れないものなど飲み込みたくはないのに。 開口器で閉じることがかなわないまま、ゴクリと飲み込んでしまう。 何を飲ませた!? 怖い……黒田が怖い。 透は黒田の異常な行動に怯えて震えた。 このまま殺されるのではないかと、死の恐怖すら感じた。 だが、黒田はドロリとした眼差しで、ただ黙って透を見ているだけだ。 まるで観察しているかのように、透を見つめ続ける。 「は……あ!?……ぁ!」 程なくして、透は体の異変に気付いた。 ───熱い!! 急激に心拍数が上がる。心臓がバクバクと早鐘を打ち、透の全身が燃えるように熱くなっていく。 透の瞳に熱と戸惑いが宿ったのを見てとり、黒田は小瓶を片付けに立ち上がった。 体の変化に怯えた透は、訳も分からず、むちゃくちゃに暴れた。どんなにもがいても、ガチャガチャと拘束具が鳴るたけだった。 徐々に上がる熱に、透はたまらず身悶ええる。この熱には覚えがある。 特に下肢に熱が集まり、淫らな反応をしてしまいそうだ。 透は裸身をくねらせ、言葉にならない声で救いを求めた。 ───嫌だ! こんな……彰広ッッ!!  

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