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運命のひと2
大学の同級生で気になる相手ができたとき、彼を責め苛むことを想像して黒田は自身を慰めた。
そして、気付いた。
自分はそのテの店や、最初からそれ目的の相手ではたいして興奮しないのだ。
黒田ほどの容姿ならば、相手は掃いて捨てるほどいたが。
自分の「日常の中」に存在する相手がいいのだと。
大学の同級生やバイト先の後輩など。
同性でのセックスやSMプレイなど知りもしないような相手を責め、それでも自分を受け入れて欲しいのだ。
最初からセックス目的の出会いなど、なんの喜びも見出さない。
───自分は歪んでいる。歪み続けている。
それでも、受け入れて欲しい。
自分の行為を耐えて、受け入れて欲しいのだ。
唯一、愛した相手に「異常者」と呼ばれたことが、かえって黒田の精神を闇の欲望へと貶めていた。
決して叶わない望みと欲望に、黒田は密かに絶望し、諦めていた。
できるだけ自分好みの相手と関わることがないように、小学校教師になった。
自分は異常者だが、子供に対して何の欲望も持ってはいない。
それは救いだったと思う。
無垢な子供たちを見て、少しでも真っ当な人間になりたかったのかもしれない……。
中山透のことは、なんとも思っていなかった。
どこにでもいるような、爽やかで真面目な、若い教師だ。
ああ、自分が中山のような精神だったら、もっと違う人生を選べただろうと羨ましく感じたこともあった。それだけだったのに……。
冬休み明けからだった。
中山透の纏う空気が変わったのは。
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