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愉悦2
彰広は部下に命じて、透の居場所をスマホのGPSで見つけた。
組の者を数名連れて、黒田の部屋へと乗り込んだ。
ドアを蹴破り、土足で室内に踏み込んだ彰広は、拘束された透を見て頭に血が上った。
すぐさま黒田を引きはがし、叩きのめす。
「殺してやるッッ!!」
部下の静止の声も、悲鳴も、何も聞こえない。この男を壊してやる。それしか頭になかった。
彰広はその両手を血に染め続けていくが
「あ……き、ひろ……」
彰広を呼ぶ透の微かな声が、彰広の暴行を止めた。
「透ッ!!」
我に返り、急いでベッドに駆け寄った。透の拘束を解きながら、その下肢を見て、尿道に突っ込まれた玩具に眉を顰める。
「あの野郎ッ!……透、少し我慢しろ。
「……ひっ!」
尿道からゆっくりと玩具を引き抜いて、床に投げ捨てた。
彰広は震える透をシーツにくるんで抱きかかえ「そいつを連れて行け。まだ殺すな」と、下の者に命じて、部屋から連れ出した。
こんな場所に一分一秒でも透をいさせたくなかった。
透は震えながら、力ない手で彰広に縋り付く。
「あきひろ……あき、ひろ……」
小さく自分を呼ぶ声に胸が締め付けられる。あの夜、もっと黒田を痛めつけておくべきだった。一介の教師が、まさかこんな凶行に出るとは思わなかった。
自分に対しても怒りが沸く。
「遅くなってすまない。透。もう大丈夫だ」
車に乗り込み、彰広の家まで行くよう運転手に告げる。走り出した車の中で、彰広は透を抱きしめ、大丈夫だと囁き続けた。
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