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言霊1
自宅に連れ帰った透を、そっとベッドに寝かせて、彰広はできるだけ冷静な声で話した。
「透、少し我慢しろ。傷が無いか見る」
気遣いながら、透の体を確かめる。
目立つ傷は無いが、口の端が少し切れており、手首と足首は赤く痕が残って、皮膚が擦り切れていた。
彰広は怒りに狂いそうだったが、透を怯えさせたくなく、必死に自分を抑えた。
あの男も許せないが、自分自身も許せない。
組のことでごたついていたとはいえ、もう少し早く着いていれば……
透の言うことなど無視して、さっさと黒田を始末しておけばよかった。
今は透の傷の手当が先だ。
彰広は一旦寝室を出ようとして、透に引き止められた。
「彰広……」
震える手で縋り付いてくる透を安心させるように抱きしめる。
「透、もう大丈夫だ」
透が彰広の髪に手を差し入れ、口づけてきた。
「……ッ!」
口端の傷が痛んだのだろう。それに気付いた彰広は透に少し待つよう伝えて離れようとするが、透は必死にしがみつき彰広を離さない。
「彰広、彰広……ね、がい。して……くれ……」
「……透?」
見れば透の下肢は硬く立ち上がっていた。
───クスリか!?
はらわたが煮えくり返る程の怒りが彰広の全身を貫く。透を抱きしめている腕が怒りに震えた。
「あ……ごめん……おれ、汚いのに……」
それをどう捉えたのか、透は彰広から手を引き、震えながら涙を零した。
彰広は離れようとする透を引き寄せて、より強く抱きしめた。
「すぐ忘れさせてやる」
「……あ」
透と唇を合わせて激しく貪りながら、震える痩身をベッドへと深く沈めた。
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