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第7話 か
「男子校だからっていうのは偏見かな。ボクもちょっとここは異常かなって思う」
有安は特に何でもないことのように言った。その言葉に嬉しくなる。有安の言葉なら、尚更。
「有安さんも、そう・・・思う・・・・?」
赤い首輪の少年が脳裏をちらつく。
「貴久は・・・・きっと慣れちゃったんだよ」
有安は高宮から視線を外して、顔を背けた。
「でも、ま、初日からあの貴久を傷付けられるのも珍しいな。すごいよ」
背伸びしてぽんぽんと高宮の頭を軽く叩く有安。元気付けられているのか、貶されているのか分からないけれど嬉しかった。
「貴久に謝っちゃえば。今は部活中みたいだけど」
「・・・・そういえば有安さんは部活は・・・・?」
「うーんボクはバドミントン部。今日は休み」
有安が文化部なら高宮もそこにしようかと思ったが運動部のようで、やめた。運動は好きだけれど、毎日毎日やっているのは飽きる。
「け~たんはどこに入るつもり?」
「ちょっと迷ってるんです。文化部にしたいんですけど。あまり盛んじゃない文化部ってあります?」
「盛んじゃない・・・・・なら美術部かな。顧問いい加減だし。華道部は週2日の割りには熱心にやってるみたい」
有安は思い出すようそう言った。高宮はただ有安を見つめた。ノースリーブから覗く肩は男のものだったが線が細く肌が薄い。
「きれい・・・・」
いつの間にか声に出していたようだった。慌てて頃には言い終わっていて、口を手で塞いだ。有安は疑問符を浮かべていたが、すぐにまた笑みを浮かべる。
「夕飯、どうするの?昨日はどうした?」
昨日は一度、母方の実家に帰り、夕食を食べ、風呂に入って、そこで寝た。そして朝、学校に送ってもらったのだ。それを説明する。
「じゃぁ、一緒に学食行かない?」
「行きます!行きます!行きます!」
きらきらとした瞳を向け、にこりと笑いながら有安は首を傾げた。まるでデートの誘いみたいで、鼓動が高まった。
「じゃぁ・・・」
有安は穿いていたカーゴパンツのポケットから白い携帯電話を出して、時間を確かめる。
「じゃぁ、6時半にまたここにくるね」
身長差のせいで待ち受け画面が見えた。コーギー犬の画像だった。
「あ、はい!」
小さな背中が自室の入り口に吸い込まれていく。途端に寂しくなる。もう一度振り返って、眩しい笑顔を向けてくれないだろうか。そう思ったけど、それは届かず、ドアが閉じられる音がした。
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