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第12話 さ
挿入されたものは全部で5つだった。5段階の大きさの棒状の物を下半身に銜え込まされ、解放されたのは一番大きいのがすんなり入ってからだった。ここの部屋の時計は9時半を指していた。
精液で濡れたトランクスを握りしめ、ノーパンのままカーゴパンツを穿く。何に使われたのか想像できた。身体がだるく、何も考えたくなかった。上半身を覆うものは何もなく裸のまま自室によたよたと戻り始める。
よろよろと歩く高宮の背中に神津が口を開いた。
「明後日の放課後、第二校舎の多目的室に来い」
高宮が最近転校してきたとは知らないのか神津はそう言った。
「来なかったら――・・・・・・」
自室の前には数個のダンボールが置いてある。
――ああ、やっと、来たんだ・・・・
運ぶ気が起きなかった。射精後の気だるさ、下半身の痛み、背中の痛み、長時間拘束されていた痛み。
「けいた・・・・」
背後から声がした。安心する声けれど無理にでも笑っていなければならない気がする。
――また、呼んでくれた・・・・。
「有安さん」
声が震えた。けれど気にせず、有安の名を呼ぶ。有安は苦しそうな表情で高宮を見上げた。
「有安さん、大丈夫ですか?」
高宮は笑う。けれどどうしても歪んでしまう。視界が滲んできてしまう。眼球の奥が熱くなってきてしまう。
「ごめんね・・・・けいた・・・・・ごめんね・・・・」
有安が高宮に抱きついてきた。背中に手を回そうとして、手にしたトランクスに付いた精液を思い出すと、出しかけた手は力なく下ろされた。
「すみません、もっとはやく駆けつけてあげられなくて・・・・」
顔だけ有安の髪に埋めた。いい匂いがした。さらさらの髪が肌に心地よかった。
「ううん。ありがとう・・・」
嗚咽が聞こえた。鼻を啜る音も。
――泣かないで有安さん・・・・
ぽんぽんと、背中を叩く。はやく去りたい。有安と離れたくなかったけれど、同時にはやくこの場を去りたかった。
「それじゃ・・・」
有安の前では笑っていなければならない気がした。どうしても。
自室に戻っても何も食べる気がしなかった。入り口で手を洗って、ふらふらと中に入っていく。
隣に聞こえないように、声を抑えて泣いた。こんなに泣くのは中学校の部活の引退振りだろうか。いや、精神的な重さはそれ以上だった。転校してきてすぐで、まだ学校の雰囲気も掴めていない状況で。どうしていいのか分からなかった。相談するほど信用できる人もまだ周りにはいない。声を抑えて泣くというのがつらいことだということに気付かされた。
――風呂入ってこよ・・・・
部屋の前に置かれたダンボールを乱暴に開けて、着替えとタオルを取り出す。気を緩めると内腿をローションが伝った。惨めで、情けなくて、再び視界が滲み出す。シャワー室まで待て、と自分に言い聞かせる。
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