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第15話 せ
フラッシュバックする。相当ショックだったのか、前後の記憶が飛ぶけれど、神津が楽しそうにシリコンの棒を抜き差しする。それを下から見上げる。侵入してくる感覚と、体内に入って短くなってはまた長くなるシリコン棒を見ている恐怖。そしてたまに与えられる快感。左右に広げられた、曲げられた脚の間から見下ろす神津の冷笑。周りの男から放たれる体液。
「けいた・・・・・」
「けい・・・た・・・・・?」
何度目かに呼ばれたとき、高宮の耳がやっと有安の声を受け入れる。
「あ・・・・。なに・・・・?」
「ごめ、んね・・・・・」
有安の大きな瞳が潤むのが見えた。
「こんなに・・・・・ショック・・・・なのに・・・」
有安が背伸びして、頬を撫でてくる。そうされて涙を流していることに気付く。
「ごめん・・・・・ボク・・・・のせいで・・・・」
頬を撫で涙を掬う有安の手をそっと取り、頬に当てる。冷たい。小さな手だ。この身体が今自分が味わっている痛みを知らなくてよかったと思う。
「有安さんの所為じゃない。ちょっとビックリしちゃって」
有安があんな風に扱われるのをきっと見ていられなかったと思う。だからあれでよかった。そうだ、そうに決まっている。そう思う言い聞かせる。
有安は何も言わず高宮に寄り添った。
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