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第31話 ほ
奥まで強引に挿入され、そこで熱が爆発した。欲望が胎内に広がる。背中に蒸れた男の筋肉が覆い被さった。
「いっやだあああああ!いやだ!いやだあああああああ!」
「うるせぇよ!てめぇは6万で売られたんだよ!」
「女じゃねぇんだから別にいいだろ」
ナカのモノがずるりと抜ける。次にまた熱が侵入してくる。
「6万だよ、6万。イイ夢みせてくれよ?」
「高宮ちゃんの前立腺はどーこだ?」
太った無精髭の男は先端を腸壁に沿うように挿入してくる。
「・・・・抜いて・・・・もぉ・・・・・嫌ぁ・・・」
シーツを握りしめた。
「気持ちいい?」
「何しても気持ちいいだろ、この変態なんて」
「ほら、銜えろ」
「首絞めるとすっげぇ、締まる・・・・・っ」
「高宮ちゃん、イキたい?」
知らない人間。知らない場所。知らない快感。
誰もいない。誰もいない。寒い。怖い。助けて。
自分の、他人の・・・全然知らない男の精液が腹の上に、ナカに。気持ち悪い。
強引に左右に開かれたワイシャツはボタンが弾けている。スラックスと靴下、ベストは少し離れたところに散らかっている。手を伸ばしても届かない距離だ。動く気力もない。
こんな知らない場所で、どうやって帰るんだろうか。あの人たちはどこに行ったのだろう。帰ってきたらまた犯されるのだろうか。逃げよう。逃げたい。逃げられない。
微かな記憶の中で、自分を見つめるレンズ。パシャパシャと鳴る光。過激になっていく暴力。奥まで突き刺してくる男のモノ。
「寒い・・・・・・」
鼻の下がむずむずとして、拭ってみれば白いワイシャツが赤くなっている。
「鼻血・・・・」
顔を何度も殴られたときに出たのだろうか。
「あ・・・・・あうう・・・・ううう・・・・・・」
悲しい。怖い。痛い。気持ち悪い。涙が溢れてくる。
ガチャ・・・・
――帰ってきた・・・・・?
「おい6万」
冷たい声。自分を売った奴の声。けれど怒りの感情も湧いてこない。
「・・・・・・・」
返事をするのもだるかった。
「ここか」
神津が高宮のもとまでやってきた。取り巻きも柳瀬川もいない。
「・・・・・」
「6万、ああ、それから2万追加されてるから8万か。おめでとう。それでコレ、なんだかわかるか?」
仰向けで寝ている高宮の身体に影が生まれる。神津の形をした影だ。
「・・・・・」
高宮はゆっくりと頭を振った。神津の手の中にあるのは小さな四角形のプレートだった。
「乱れたお前を撮影した動画、画像だ」
身体が疲れているからか、この時はまだ大したショックは受けなかった。
神津は少し間を置いて、じっと高宮を見つめてから、笑った。
「・・・・・・ローター、入れっ放しかよ」
振動を続けたままのローターの音が神津の耳に聞き取れたのだろう。
「・・・・・・じゃぁな。また今度」
神津はそのまま高宮の視界から去っていた。
怖い。怖い。怖い。
ずっと天井を眺めていた。目の前が真っ白になって、歪んでいく男達の声と顔。ぼーっとしていると男達はいつの間にかいなくなっていた。終わった、というこの安心は夢なのだろうか。
振動したままのローターが動いて前立腺に当たる。身悶えて、そんな自分が虚しくまた枯れた涙が零れた。
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