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第32話 ま
――もう、どうでもいいや・・・・・・
目蓋が重い。眠い。このまま寝て、目覚めなければいいのに。そんな考えに辿り着く。
「高宮」
誰かが自分の名前を呼ぶ。
「高宮・・・・・」
悲しそうな声音。
「・・・・・ひ・・・・・」
肩に触れる、温い手。自然と身体が拒絶してしまう。
「高宮・・・・」
髪に触れようとする手から身体を捩って逃げる。
「いやだ・・・・・やめて・・・・・殴らないで・・・・」
――怖い。やめて。怖い。痛い・・・・
「高宮、大丈夫だ・・・・・」
「いやだっ!放せよ!放せ!放せよ!やめろよ・・・・」
仰向けの高宮に被さるように前屈みになり、頭を抱いてやる。高宮の身体は強張って、腕は覆い被さってくる人物の腹や胸を押す。踵で床を蹴って、逃れようと必死だった。
「高宮、大丈夫だ。大丈夫だから・・・!」
拒絶しても自分を優しく抱きしめようとする相手のミントの匂いに力が抜けた。
「や・・・・・なせ・・・がわ・・・・くん・・・・・っ」
目を見開いて、抱きしめてくれる腕を受け入れる。
「高宮・・・・・つらかったな・・・怖かったな・・・・」
「柳瀬川君・・・・・っ」
「大丈夫・・・・・大丈夫だから・・・!」
高宮も柳瀬川の体温で暖をとるかのように柳瀬川の背中に手を回す。嗅ぎ慣れたミントの香りに顔を埋める。
「あああ・・・・・ぅあああああああ」
嗚咽が漏れて、止め処なく涙が零れる。
子供をあやすように柳瀬川は高宮を抱き上げてやる。
「やなせがわ・・・・くっ」
「大丈夫・・・・」
ヴィヴィ・・・・
「・・・・・・何の音・・・・?」
柳瀬川は高宮の髪を撫でる手を止めた。
「ローターが・・・・・っふ・・・・ナカに・・・・ひっ・・・」
「・・・・そっか」
「取って・・・・・やな・・・・・わく・・・・取ってぇ・・・・・」
言葉にならない震えた声で柳瀬川に助けを求める。カァアアと顔を赤くして柳瀬川は俯いた。
「・・・・・・ごめんなさい・・・・・・。ごめんなさいっ」
「いや、わかった」
「力、抜けよ・・・・」
リモコンは近くに転がっていた。電源を止めると高宮の胎内の音もしなくなった。
柳瀬川が見やすいように、高宮は這うような体勢のまま尻を高く上げた。数人分の精液が内腿を伝ったて震えた。
「・・・・・ん・・・」
柔らく、赤く腫れてしまっている窄まりに柳瀬川は指を挿れる。
「痛かったり、気持ち悪くなったらすぐやめるからな?」
「う・・・・ん・・・・ん・・・・」
一度達してしまった身体は敏感だった。後始末をしてもらっているのにまた熱を取り戻す自身。
「ちょっと奥までいっちゃってるな・・・・。コードレスだし・・・」
柳瀬川の指がローターを取ろうとする動きに感じてしまう。
「ふんばれないか?少し力んでくれ」
「え・・・・?」
「奥まで入っちゃってるんだ」
「・・・・・・・わかった・・・・」
――くそっ、なんでこんなにかわいいんだよ高宮・・・・・
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