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第51話 I
口内で悲鳴が木霊した。荻堂の余裕のない表情が真上にある。はっきりした二重に長い睫毛。傷んで茶色くなった黒髪。汗ばんだ顔。きりっとした瞳は真っ直ぐ高宮を穿つ。
「はぁ・・・・・んっ・・・・・!」
身体が強張った。半分抜けてはまた奥まで入ってくる。ゆっくりだけれど内部を擦られる感覚に震えた。
「よ・・・・っく・・・・分からないっけど・・・・・!っは・・・・・・ごめ・・・・・・・っ」
頬に添えられた荻堂の手は熱を帯びている。謝られるとともに荻堂の腰の動きが早くなる。
「はぁうっ・・・・・ふぅっ・・・・ああああ・・・・」
荻堂の激しい動きで下半身にかけられたローションが空気と混ぜられ、ぐちょぐちょと音を立てる。
「っはぁ・・・・・媚薬が・・・・っ効いてっ・・・・・」
肉を貪るような野獣のように高宮には思えた。胸で大きく覆い被さるように抱きしめる。荻堂の匂いと汗の匂いがいつの間にか利くようになった鼻に届く。
「ああああううっはぁ・・・・・・」
空気を含んで白くなったローションが高宮の菊からまるで中に出されたかのように滴る。ここまで激しいのは初めてで、高宮の身体はシーツの上でがくがくと揺れた。
「だめだっ・・・・も・・・・・・」
覆い被さった荻堂は放れ、高宮の脚を抱く。
「ふぅうううっはうっ」
身体を折り畳まれると内臓が潰されるようだった。
「はぁ・・・・・はぁ・・・・」
激しい律動に耐えていると、いきなり動きが止まった。上体を出来る限り起こすと、荻堂のモノが自分から抜かれていく光景を見る羽目になった。生クリームまみれになったように白い液体が付き、高宮に埋まっていた部分はてらてらと光っている。荻堂は自身からコンドームを外すと、真上を向いたそれを手で扱いた。白濁が弧を描いて高宮の腹に飛ぶ。見慣れているはずの、びくびくと脈動する凶暴なそれが自分にもあると思うと高宮は気味が悪くなった。
「1発じゃ・・・・足らない・・・・!」
荻堂は高宮の口に貼られたテープを剥がす。
「もぉ・・・・やめて・・・・・ムリ・・・・・」
高宮は息切れを起こしながら訴えた。が、荻堂はまた覆い被さるような体勢をとり、高宮を見下ろしながら首を振る。
「ごめん」
柳瀬川とは違う男らしい顔立ち。衣澄とは違う整った顔立ち。有安とは違った無邪気さ。そんな顔で荻堂は高宮の唇に唇を落とす。唇まで熱かった。どんな経緯で荻堂が媚薬を飲んでしまったのかは知らない。
「コンドームもう無いから、生でヤっちゃうから・・・」
もう感染症を気にする余裕もないのか荻堂は開きっ放しの高宮に突き入れた。
「はぅうう!」
腰を掴まれ身体を回転させられる。腕を縛っていたネクタイも捩れ、余計に手首が絞まった。両膝をシーツにつき、腕はベッド柵に吊られているため、肘を枕に預けた。
荻堂の手が高宮自身に伸び、優しく揉まれた。今度は背後から覆い被さられる。覚えのある快感に自然と後孔を締めた。獣のような体勢で深く交わる。荻堂の手も速くなる。
「も・・・・・いくっ・・・・」
荻堂が深い深いところを抉る。動きが止まると、腹部の奥が熱くなる。腸壁に当たり、身体がびくっと跳ねた。何度かに分けてそれを感じる。射精が終わってすぐに荻堂はまた動き出した。驚いて顔を上げるとそこにはビデオカメラが赤い光を点けながら佇んでいる。
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