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第2話

◇◇ 「……ちょっと、航一(こういち)。聞いてる?」 由佳の声に、はっと顔をあげる。 一瞬、なんで由佳と一緒にいるんだろう……なんて考えて、今日は勉強を教えて貰う約束をしていたのを思い出す。 由佳は持っていたシャーペンの先を唇に押し当てると、むくれたように唇を前に突き出した。 「…言っておくけど、航一が勉強教えてくれないと単位やばいっていうから、わざわざ教えに来てあげてるんだよ」 「あー…分かってるよ」 「何よ、それ。…もういい」 面倒くさそうな口調が気に障ったのか、由佳は眉を潜め、つんと向こうを向いてしまった。 「ごめん、ごめんってば」 女ってのは、怒らせると、後々面倒くさいことになる。 慌てて謝れば、少しの間の後、由佳はくるりとこちらを振り返った。 その頰は、ほんのり赤く色付いている。 「…お詫び、してよ」 「……え」 思わず聞き返せば、由佳は下から俺へと視線を移ろわせ、躊躇いがちに口を開いた。 「明日の、花火大会。……一緒に、来てよ」 「花火大会…?」 あまり抑揚のない声で呟いたからか、由佳は慌てたように付け加えた。 「私をわざわざ呼んでおいて、人の話聞いてなかったんだから、お詫びくらいするのは当然でしょう!…っあ、明日のために、可愛い浴衣も買っちゃったし……」 「え、…」 いじらしいその態度が可愛くて、きゅんと胸が高鳴る。 堪らず、華奢な肩に手を回し、ぎゅっと抱き寄せれば、由佳は驚いたように高い声を上げた。 「…こ、航一……」 「……無理、我慢出来ない」 驚く由佳の口に、舌をねじ込む。 そのまま口内を掻き回そうとすれば、由佳は嫌々をするように首を振り、肩を強く押してくる。 無理矢理抑え込むことも出来たが、余りに必死に離れようとするので、仕方なく唇を離す。 「…っ、駄目だよ、…今日は、勉強するって約束でしょ…」 「…そうだけど…」 今暴れたせいで、ワンピースの肩部分がずれ、ピンクの下着が露わになっている由佳に、こくんと喉が鳴る。 無駄に大きい胸が、呼吸と一緒に、僅かに揺れる。 「……っこういち…」 衝動的にベットに押し倒せば、由佳の唇から、色っぽい吐息が漏れる。 「…駄目だって、言ってるのに…」 「…明日、花火大会行くからさ。…浴衣姿も、楽しみにしてるから」 小さく抵抗する由佳の耳元でそう囁けば、浴衣姿、という言葉に、ぴくんと反応した。 少しして、由佳は悩ましげに眉を寄せると、本当に、と上目遣いで聞いてくる。 「…本当。だから、……いいだろ?」 由佳の唇に、自分のを重ねる。 今度は……抵抗しなかった。 ちょろい、と思いつつ、キスをしたまま、豊満な胸に手を滑らせる。 明日の花火大会は正直面倒くさいけれど、代わりにこのセックスを楽しめるなら、安い取引だと思った。

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