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第14話 衝撃
渡された手紙を受け取って、僕は母さんと色の顔色を窺いながら手紙を読む。なんてちゅう拷問だと心の中で泣き、星玻の綺麗な字にうっとりする。
相変わらず丁寧で整った文字を書くよなと僕とは対称的な性格の弟をしみじみと感心する。一卵性でココまで違うと、実は二卵性なんじゃないかと疑ってしまう。ソコまで、僕と星玻は異なっていた。外見以外はだが。
「月坡、久しぶり。十年前に別れたきりだね。ボクは母さんから月坡の話を聞いていたからそうでもないんだけど、月坡はそうだよね。この十年、元気していた?」
口にだして読んでいくうちにほわほわとした気持ちが入ってきて、ああ、僕は星玻が好きなんだと改めて実感する。
「ああ、星玻、僕は元気だよ♪」
星玻の手紙にキスをしながら続きを読んでいたら後ろから、僕の声と重なる。重なったと思ったら、その唇が塞がれていて僕は大きく目を見開いた。
「………ほ、し………は……?」
どうして?という僕の声は星玻の口に収まって、グイグイと舌が割り入れられる。なっ!?と固まる母さんと色を星玻は横目でちらっとみて、僕の右手と星玻の右手を繋ぐともう片方の手で僕の首筋を引き寄せて深いキスをする。あのときのような苦い味ではなく、甘く蕩けた味が口一杯に広がって僕はもう片方の手で星玻の頭を無意識に引き寄せていた。
そして、その先の行為を求めるように星玻が僕の服を着崩し、はだけさせる。星玻の甘いキスにほだされた頭と身体は、もう色をみていなかった。
「………星玻、…………すき………」
とろんとした目でそういうと星玻は僕の耳元で「ボクもだよ。月坡、愛してる」と囁くのだ。急展開に驚いているのは母さんだ。僕じゃなく、星玻の身体を掴んで引き剥がす。引き剥がすが、母さんは所詮女。男の星玻に叶うハズがない。色も僕を自分の方に引き寄せようとするけど、「兄さん、月坡に嫌われたいの?」と星玻に叱咤されると、色は僕に嫌われたくないとその手を離してしまうのだ。
良犬の色は僕の顔色を窺うばかりで、星玻に手だしできない。母さんは、蒼白した顔で星玻の顔をみることしかできなかった。
「母さん、残念だったね♪母さんが警戒するのは月坡じゃなくって、ボクの方だったんだよ♪」
星玻は意味が解らないことを母さんにいって、僕の手を掴むと僕にもう一度キスをした。そうして、こういうのだ。
「月坡、この続きはボクの部屋でしよう」
と。
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