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第16話 幸せ

  星玻の熱い舌が鎖骨や首筋を嘗め廻る。色のときとは違う抱かれ方で、戸惑うことばかりだった。張り詰められた場所に一度も触れてくれないし、首筋や耳朶を甘噛みされるばかりで、僕の要望が満たされることもなく終わってしまった。かろうじて星玻を受け入れられたのは、僕が星玻のことが好きで星玻のすべてを受け入れたいと思ったからだろう。 ギシギシとベッドが軋み、星玻が僕の中で欲望を弾けさせる。生で一度もしたことがなかったから、僕はこの後大変なことにあったことなど、星玻は知らない。色に泣きながら、頼んだことも知らないだろう。ソレくらい、性情後の星玻は深い眠りに入っていたのだ。 母さんは泣きながら色に頼むんならどうして最初から拒まなかったのと呆れてはいたが、僕がずっと星玻に想いを寄せていたことを知っていたからソレ以上はなにもいわなかった。が、星玻が僕のことを好きだったとはコレぽっちも感じとれなかったと嘆いてはいた。僕も星玻が僕のことを好きだとはコレぽっちも感じとれなかったから、上手く隠していたんだと思った。 だが、コレが大きな間違いだと気がついたのは、星玻と身体を合わせるようになってひとつきが経とうとしているときだった。 ソレは、あんなに色とべたべたしていた僕が急にべたべたしなくなったことを不思議がった友人との会話から始まった。 「そういや、お前、色羽と別れたの?」 「………? 別れたって?」 「ん?お前、色羽と付き合ってたんでしょう?」 「えっ!?色とは付き合ってないよ?」 「………へっ?」 「兄弟だから仲良かったというか、その………ほ、星玻と付き合ってる………」 歯切れが悪く僕がそう答えると友人のひとりがこういうのだ。 「えっ!でも、キスとか、してたでしょう?」 と。 男同士のそういうことを普通にそういうのは彼らがそういうことに理解があるからだろう。いまは社会をあげてそういう人権問題も取り上げられて、そういう人もいることを理解して上げようという取り組みがされていることもあるが。 「………そうだけど、僕、もともと星玻が好きだったし、………その………」 色への好きはそういう好きとはまったく違うといおうとして、色の「……つき、…は、……すき…」を思いだしてしまってひとりで赤面してしまう。照れた顔で違う違うと首を振るが、色のあのエロい顔を思いだして、また顔を真っ赤に染めた。 「……色は、そういうんじゃないよ………」 と、なんとかそう応えて目を反らした。星玻のことが好きなのになんでココまで動揺したのか、僕にも解らなかった。 そして、ふたりの友人がふーんと鼻で答えて「じゃさ、その星玻くんのどこが好きなの?」と当たり障りのない質問をしてきて、僕は初めて気がつく。  

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