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第19話 よりどころ

  好きな人と好き合って、付き合っているというのに心が冷たく凍りつく。不安というよりも僕の心がいまの現状についていっていないようなのだ。 アレから残りの講義を受けて家に帰ったけど、結局星玻はまだ帰ってきていないから、続きはして貰ってない。 僕は晩ご飯を食べて、お風呂に入って、いまはリビングで色といる。母さんは用があるからといって夜遅いのに、他出した。 だからいま、家の中は色とふたりきりだ。ひとつき前までなら性情にかられてところ構わず盛っていただろうが、いまはソレがない。ないからむしろなにをしてイイか解らなかった。 興味もないテレビをみて、兎に角、寛いでいるという雰囲気だけは醸してみた。が、やっぱり落ち着かない。 昼間のこともあってか、色はそわそわして僕以上に落ち着かないようである。色に悪いことをしたなと思っているから、なおさら、自室に逃げ込むことができなかった。 リビングのソファのひとりがけに色が座って、僕はふたりがけの方に座っている。この距離は星玻との遠慮が含まれているのだろうが、そう気にすることはないのにと僕は思った。 「………星玻、遅いね」 少しでも距離を縮めようと僕が近づくと色はビクビクと僕から離れていく。やっぱり、昼間の件で星玻に遠慮しているんだと僕は項をかいた。 「………どうしたの?もう眠い?」 色にそういうと首を振る。ほんとうは眠いし、物凄く不安で仕方がないのに色は強がる。 「ほんとうに?」 僕が立ち上がって、色の目の前でしゃがみこむと色は自分の両膝を抱きしめて、こくこくと頷く。僕が色に触れようとすると嬉しそうな顔をするのに、はっと息をつくように息を吐き、だいじょうぶと笑うのだ。僕に気を使うほど、色がどんどん臆病になっていくのが解った。 折角、ココまで回復してきているのに、また能面みたいな沈んだ顔をするようになるんだと思うと胸が痛んだ。もう色のあの顔はみたくないのだ。 「色、今日は一緒に寝る?」 一緒に寝るといっても床に布団を二枚敷いた別々の茵だが、色の顔にいろが戻ってきた。 「僕も眠いし、星玻も母さんも帰ってきそうにないからココで寝よう?ダメ?」 僕の提案が嬉しいのか、僕と一緒に寝られるのが嬉しいのか、色はこくこくと何度も頷いて、さっそく母さんの部屋から布団を引っ張りだしてくる。どうして、母さんの部屋に色の布団があるんだろうと思ったら、このひとつき僕は星玻と一緒に寝ていたからだと思い至った。 そう思うと物凄く色が可哀想になって、僕はこうつけ足した。 「手も繋いで寝ようね♪」 二枚の布団をリビングの床に敷き終わった色が吃驚とした顔をする。いいの?そんな顔で、またそわそわとしだす。僕が嫌なの?というと首をブンブン横に振って、僕の手をぎゅっと握った。色が握ったところから温かいモノが流れてきて、嬉しい気持ちになったら不安なのは色ではなく、僕の方だったんだと気がつく。 「………色、ありがとう……」 色にも聞こえない声でそういうと僕は布団の中に潜り込んだ。泣きそうな気持ちを押さえて、目を固く瞑る。どうして、色はこんなにも温かいんだろうと下唇を噛んだ。  

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