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第25話 隠れた事実
驚いて固まってしまった僕に色は悲しい顔で、おれじゃだめだった?という。いや、ダメじゃないんだけど、いまは頭の整理をさせてと応えた。
「まぁ、十七年ぶりの真実っていうモノだから、暫くは考えさせて上げて」
母さんは色にそういって、父さんとまた訳の解らない会話をしだす。
「じゃ、あの時月坡が慰めてた子って色くんだったの?」
「そうだよ、あの時色羽くん、陽香先輩に女の子の格好させられて半べそかいていたからね。いくら花嫁のベールを持つ女の子がいなかったからって色羽くん使うことなかったのにさ……」
父さんはしんみりとそういう。母さんも頷いてはいるがこう呟いていた。
「陽香さんと苺花さんならさせそうだわ………、あのふたり、そういうの好きだったからね……」
と。
色の両親の話を頭の片隅で聞きながら、僕は頭を整理させようとするが、あまりにいろんなことがありすぎて、最終的には頭がオーバーヒートしたらしく思考を停止させてしまった。この儘考え続けてもろくなことはないと、今日はもう寝ようと決める。
「ゴメン、………僕も寝るよ。あ、父さん、泊まっていくなら僕の部屋使って」
星玻のせいでお客様布団が台無しになっていることが解っているから、僕がそういうと、母さんは「アンタこの後におよんでまだ星玻と寝る気なの?」と呆れるから、「えっ?僕、色と寝るつもりだったけど、ダメだった?」といえば、父さんが嬉しそうに「そうだよな、初恋は大事にしないと」という。初恋?と僕が眉を潜めるが、ファーストキスが色ならそうなんだろうと思い直して、「じゃ、色、悪いけど一緒に寝させて」といってリビングから色の部屋に運んで貰った。
リビングをでる際、母さんが「明日、朝イチで病院いくから準備だけしとくのよ」といってきた。僕は解ったと応じて、その日、ひとつきぶりに色と一緒に眠った。あんなことがあったから怖い夢をみるのかと思ったけど、ソレはまったくなくって、かわりに小さな女の子が泣いている夢をみた。
どことなく色に似ていて、僕はその子の頬っぺたにキスをしていた。驚いた顔で僕をみるその子は泣いていたことも忘れて、僕をみている。大粒の涙も止まって、僕のことをみていた。
『コレで、なみだがとまったよね♪』
わらったかおのほうがかわいいよ♪となんか物凄く恥ずかしいことをいって、僕は再びその子にキスをするのだった。今度は頬っぺたではなく、その子の小さな唇に。櫻貝のような薄いピンク色の唇に、僕はそっとキスを落としたのだ。
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