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第34話 幸福

  「色、………キスしてイイ?」 星玻が生きていたことに安堵しての言葉にしては不純すぎる言葉だと思ったけど、僕は色とキスがしたいと思ったのだ。 父さんと母さんがおいおいと星玻が生きていることに大泣きしている傍らで、僕は色とキスをした。唇が触れるだけの軽いキスだ。キスが終わると色は恥ずかしそうに僕から目を離すが、僕は色の顔をまじまじとみて、もう一度色にキスをした。 今度は唇が触れるだけの軽いキスではなく、ねっとりと舌を絡めたディープなヤツを。最初、色は遠慮というか、驚いたという感じでビクビクとしたキスだったのに、どんどん深くなると身体を抱き寄せはじめて、主導権を僕から奪っていく。色のこういう大胆なキスが好きで、僕は身体を預けていった。 「………いろ、……………とまな、い…………」 どんどんと気持ちイイが前にでて、星玻とキスをしたときよりも興奮する。身体が、心が、頭が色を好きっていっているようで、ほんわかした気持ちがいっぱいになっていた。そして、泣きそうなくらい色が好きで、色がとても愛しく感じた。 震える声でその先を強張ろうとしたら、父さんと母さんに止められてしまった。 「アンタ、なに、盛ってんのよ!?」 「そうだぞ!こういうことは身体が完治してからだと父さんは思うぞ!」 止められる理由がなぜだかちぐはぐのようであるようだが、色もキスだけにしようと父さんと母さんがみているのも関わらず、キスを再開させる。 「………ちょ、………いろ………」 上顎は止めてと手で突っぱねて、自制がきかなくなるからといえば、舌だけを絡める色に僕も母さんも父さんも甘いようだ。 コレで、星玻も色に甘くなったらどううなるんだろうと、現実的にはあり得ないことを想像して、僕は少しだけ楽しい気持ちになった。  

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