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第41話 ほしとつきのいろ

  母さんと父さんに追いつめられた星玻は唇を尖らせて、叫ぶ。 「だって、兄さんと同格なんてヤダっただもん!月坡と兄弟なのはボクだけだもん!」 母さんが持っている紙がなんなのか解らなかった僕でも、星玻の嘆きでピンときた。色がどうして僕の養子なのかの、理由だ。 「だからって、月坡の養子にすることじゃないでしょう!」 母さんが負けじと怒鳴る。父さんまでもが頷いてこういうのだ。 「そうだぞ!どうして、月坡を色羽くんの養子にしなかったんだ!」 と。 母さんは「へ?」という顔をしたが、星玻は星玻でこう怒鳴り返すのだ。 「当然じゃない!兄さんをボクより格上にするワケないじゃん!」 父さんと星玻が睨み合っている横で、母さんが拳を握っているのがみえた。アレは、父さんにも拳というか一撃必殺の雷が落ちる。 僕は尽かさず、その場に入ろうとするのだが。 「…………あの……!」 色に口を塞がれた。んっ………と舌が入ってきて、キスをされたんだと解ったときには、リビングの中に押し入れられる。そして、色はつきははきにすることないと、あのさんにんに割り込もうとする僕をリビングのソファに座らせて、もう一度深くキスをしてきた。 「………や、……い………ろ、………っっっんっ!…」 医師にこういうことも控えなさいといわれた手前、僕は色を押し返そうとするが、「………つきは、………おれだけ……みて…」と色にいわれると抵抗ができなくなってしまう。廊下では、父さんと母さんと星玻が物凄い勢いで怒鳴りあっていて、アレでは近所迷惑だと頭では解っているのに、色のキスに僕は溺れて、僕は色をソファに引き寄せた。 気持ちよくって、頭がくらくらする。理性も吹っ飛んで、色しかみえない。トロリとした目で色をみると色は、ほら、ひざまくらといわんばかりに自分の膝を叩いて僕を寝かせた。そして、再びキスが僕の唇に降ってきて、僕はせがむように色の首に腕を廻した。色は、いい争いが終わるまで僕にキスを贈り続けてくれた。 キスの合間、僕はもしかして色も星玻の共犯者だったのかな?と色の顔をみあげるが、色はいつもと同じ顔で僕を見下ろしてくるからよく解らない。よく解らないけど、色は僕のモノだということはよく解ったから僕は自然と顔が緩んだ。 心がふわふわだと身体もふわふわで、頭も理性も本能もふわふわで気持ちよかった。 そして、身体が回復して完治したら、まずは色に抱かれよう気持ちよくイカされて、気持ちよく幸せになりたいと心の底から思った。 そう、心の底からそう思っていたのに───。  

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