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第44話 ふたつの心

  色の手廻しは尋常ではなかった。キスをしてとろとろになった僕を横抱きにして、色は河川沿いにあるホテルに入る。観光客が多いことから、ふたりつれの男がツインベッドの部屋をひとつ予約しててもそうおかしくはない。 フロントで横抱きにされた僕は気分が悪くなったと説明したらなにも怪しくなく、色は手早く部屋の鍵を受け取って、エレベーターに向かう。こんなどうどうとした色は、陽香さんが生きていた以来で僕は物凄く驚いた。そして、僕が考えていたプランがいかにも幼稚だったかをしらしめさせられる。 「………色、いつのまに予約してたの?」 「ん?つきはがほしはのさそいをことわったときかな?」 色は平然とそういって、ひとつき以上前から予約を入れていたことをあかす。 「えっ?じゃ、たまたま僕と被ったの?」 「ちがうよ。つきはがこのひにおれをさそうようにつきはをゆうどうした」 エレベーターに乗って渡された鍵番号の部屋の階を押して、色は閉まるボタンを押すと同時に僕に深いキスをしてきた。 「………ん、………いろ、………どういう………」 こと?と首を傾げる僕の唇に色の唇が重なる。そして、僕の声が色の口の中で木霊した。 確かに考えてみたら、友人ふたりからあの穴場を聞いたのもその頃で、桜の満開時期に告白するのもイイじゃないかと提案してきた父さんもその頃だ。母さんなんか、当日の今日、僕から離れようともしなかった星玻をつれてでかけてくれたのだ。 ああ、なんだこのやられた感はと身体の力を抜くと押した階について、色はキスをやめる。何事もなかったようにエレベーターから降りて、宿泊する部屋の鍵をあけた。 鉄の冷たい感じドアを開いて中に入った瞬間、僕はベッドに押し倒された。 性急な色に僕が笑うと色は僕に覆い被さってきてまたキスをする。 「つきは、おれ、どれだけがまんしてきたとおもうの?」 キスの合間に服を脱がされ、僕を組み敷く。そんな色の雄らしい顔を僕は久し振りにみた。 「………ん、そうだね………」 待たせてゴメンという感じで、今度は僕から色にキスをした。色とキスをするとどきどきする。アレほど、キスをして、身体も重ねてきたのに。 「……いろ、……だめ、……しんぞうがもたない…」 どきどきし過ぎて、口から心臓が飛びだしてきそうだ。色に触れられることが嬉しいのに、頭が真っ白になって、僕は目を瞑る。 「いいよ。きょうはじっくりとしてあげる。つきははゆっくりがすきだもんね♪」 色はそういって、僕の部位ひとつひとつ唇を落としていった。くすぐったくってあまたるい感覚が、僕の下半身を大きくする。ソレを色の大きな手で掴まれたら、ソレだけで僕は達して白濁したモノが色と僕の腹を汚した。 「つきは、きもちいい?」 達したところに指で愛撫されたら、また僕のモノは大きく膨れ上がって欲を吐きだそうと小さな口をひくつかせていた。 「………はっんぁん!………だぁめ、………いろ、………だぁめ………っ!」 肩を大きく揺らして僕は海老反りになる。よじる身体を固定するように、色の太股が股の間に割って入ってきた。 「………やぁ、………あたま、…………へんッに…!」 なる!という声が先か僕の意識はソコでふつりと途切れてしまった。オイオイ、コレからだろうと自分自身に突っ込みたくなるが、色に久々に触れて貰った僕のソコは大いに喜んでしまったようで、沈んでいく瞬間、物凄く色に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。  

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