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第45話 ふたつのからだ
「─────ん、………色!」
飛び上がるようにベッドから飛び起きて、僕は辺りを見渡した。
壁には姿鏡があって、ソコに映る僕は髪の毛が少し湿っていて、白いバスローブを着ていた。石鹸の匂いがしたから、色に身体を隅々まで洗われたようである。
だが、肝心の色がいなくって不安になっていたらバスルームから色がでてきた。
「あ、きがついた?」
バスローブをきて、タオルで髪を拭きながら僕に近づいてくる色に僕は土下座をする。せっかくのシチュエーションを台無しにした挙げ句、僕ひとりだけ気持ちよく落ちたことを詫びた。
「ゴメン、色、せっか………く、………ん」
色に下げた頭を掴まれたと思ったら、バスローブ越しに色のモノが唇にあてられる。目を見開いて色をみれば、色は目を細めた。
「つきは、できるでしょう?」
できるでしょうの意味は解るが、コレまで色はこんなこと求めてきたことがなかったから戸惑った。
不安な顔でソレをどうするか迷っていたら、色が優しくキスをしてくる。
「……い、ろ………」
キスの合間に色の名を呼べば、ゆっくりと離れていって再び股間を押しつけられる。コレは詫びだと思って、僕はバスローブ越しにキスをして、あわせの間から色のデカブツを引っ張りだした。
舌でカリの部分をペロリと舐める。ぴくぴくと痙攣するように震える亀頭を口に含んで、喉奥まで押し込むと歯を立てないように上下に口を動かした。舌と唇で愛撫する高度なテクニックを僕は持っていないから、兎に角、口に含んで上下させる。
物凄く下手だと思うのに、色は「じょうず」といって僕を励ますのだ。
「………ん、………いろ、………きもち、イイ……?」
どこをどうやれば気持ちイイのかを聞いたつもりだったのに、色は「うん、つきは、きもちいい」と答えるだけで、僕は困り果てる。確かとココを嘗めると気持ちがイイと本で読んだことがあるのを思いだして、裏筋というところを舌で舐めてみた。
色が急に身動ぎをしたから、おお、コレはと上下に口を動かしながら、舌を這わせてみる。ふるふると鈴口が震えて、ん?と思った瞬間、青臭いモノが口いっぱいに広がって僕はキョトンとした。
なに?と上目遣いで色をみると、色が慌てて僕の口から僕がくわえているモノを引っ張りだそうとするのだ。僕がしっかりとくわえてなかったから、色のデカブツは僕の口からポロリとこぼれ落ち、上に向いているソレは大きく息をしていた。
「………あ、ゴメン………、やっぱ、……気持ちよくなかったんだね……」
僕が肩を落としてそういうと、色は真っ赤な顔をしてごめんと謝る。
なんで、色が謝るのかが解らなくって僕が首を傾げると、色が僕にキスをしてきた。苦いという顔で眉根をしかめるから、ああ、さっきの青臭いヤツがまだ口の中に残っていたんだと、僕は色の舌を自分の舌で絡めてソレを舐めとってやる。
ごくりと喉を鳴らしてソレを呑み込むと、色が目を大きく見開いた。どうしたの?とまた首を傾げる僕に、色は馬乗りになった。
アレ?この体勢ってと思う間もなく、僕の脳裏にあのときの光景が呼び覚まされる。コレまで一度もそういうことがなかったのに、いきなり、ソレは僕を襲ったのだ。
フラッシュバック、嫌な記憶として思いだされたソレは一瞬で恐怖となった。
「──いや!──星玻!!───やだぁ!!!」
覆い被さっているのは色なのに、僕はそう叫んで色を拒んだ。
「───離して、やだ、お願い──!!」
僕の力では色を退かすことなどできないから、僕はめいいっぱいに暴れる。錯覚した脳は、色の身体さえ拒んでいるようだった。
そんな色は暴れる僕を必死で押さえつけた。僕が暴れて怪我をしないようにするためなのに、僕はソレすら怖くて泣きだした。
「──ヤァ!許して!!お願い、色、助けて!お願い、助けて、色!!」
おいおいと大粒の涙を流す僕を色は必死に押さえつけて、そして、僕を優しく宥める。
「つきは、おれはここにいる。こわくない。だいじょうぶ、いま、たすけてあげるから……」
なかないでと僕にキスをする。星玻の強引なキスではなく、触れるだけの甘いキス。
「……はっん………、……いっろ、……」
叫ぶ僕の声が色の口の中に収まっていき、僕の身体から力が抜けていく。次第に、恐怖が取り除かれていって、僕は目を綴じた。
「つきは、きこえてる?」
色が僕になにかいっているようだったが、僕はその儘目を綴じて止まない色のキスを受け入れると色の吐息を胸いっぱいに吸い込んだ。
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