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第48話 甘い罠

  翌朝、家に帰って来た僕と色を星玻は玄関で待ち受けていた。 「兄さん、話があるんだけど!」 どうみても怒っているようにしかみえない星玻の言動に色の顔色が変わる。僕は色の前に立ち、 「星玻、色は……」 というが、その言葉を遮って色が僕の腕を引っ張った。そして、僕を自分の後ろに隠すのだ。いつもだったら僕の後ろにすぐ隠れるのに、僕は首を傾げて色をみた。 「色?」 「つきは、だいじょうぶ。おれ、きょうからかくれない」 どういう心境か解らないが、色は強気にでる。僕がそう?といっ歩後ろに下がると星玻は色の腕を引っ張って、ココじゃなんだからといって、自分の部屋につれ込もうとした。 僕としてはすぐにでもふたりの間に入れる立ち位置にいたかったのに、そうされると困る。だから、余計なことだ思ったが、口を挟んだ。 「星玻、ソレって、僕にも話せないこと?」 すると、星玻が急に顔を赤くして、兄さんとボクだけの秘密の話なの!と星玻には珍しくこの僕に噛みついたのだ。 「ちょ、秘密の話って、なに?」 僕だけが爪弾きになった気分になって僕がそう詰め寄ると、星玻に「月坡には関係ない話なの!」とキレられて色をつれていかれる。 「僕に関係ないって、星玻、酷い!」 ふたりの後を追って僕も星玻の部屋に入ろうとしたら、色に止められる。 「つきは、ココでまってて。すぐでてくるから」 「…………!」 僕が納得いかない顔をしていると、色が星玻の目の前で僕にキスをした。 「いいこ、まってて」 そういって、星玻と色は中に入っていく。大胆な色に一瞬、唖然とした僕だったが、次の瞬間、目を大きく見開いた。 いつもなら、兄さんズルいボクもと星玻までもが僕にキスをしてくるのに、星玻は僕と色のキスに見向きもしなかったのだ。 「────えええっ!!!!」 と、僕が驚いていたら、入ってすぐの色が本当にすぐにでてきた。 「おまたせ?ん?つきは、どうしたの?」 色はキョトンとした顔で僕をみるから、僕は星玻に嫌われたんだと泣きそうな顔をした。 「ああ、つきは、だいじょうぶ。ほしは、すぐにでてくるから」 色がそういって僕の頭を撫でていたら、急に星玻が部屋からでてきて僕にキスをする。 「ゴメンね、月坡。さっきはどうしても優先したいことがあったの!」 キツくあたってゴメンねと、泣きそうな僕にキスをする。そして、コレはさっき兄さんが月坡にしてたキスで、こっちはおかえりなさいのキスねと、三回もキスをされた。ソレから、もうさっきのあの態度はなかったように僕にベタベタしだすのだ。 コレでは、いつもと変わらないとあんなに星玻に避けられてショックだったのに、僕は星玻を突き放そうとするが、星玻は「昨日いちにち、兄さんとベタベタとしてたんでしょう。今日はボクとベタベタするの!」とまったく離れようとしない。 「ああもう!星玻、少しだけ離れてよ!」 色の腕にしがみつきながら星玻にそういうが、星玻はまったく聞くようすがない。僕は色の方に視線を向けると、色はニコニコと笑って僕と星玻がじゃれているのを微笑ましくみていた。 「え!なんで、色、そんな顔で笑うの!」 「ん?だって、もうつきははおれだけのものでしょう?」 恥ずかしげもなくそういって、僕にキスをする色はなんだか勝ち誇っているような気がした。対する星玻はいつもと変わらないような感じがしたが、兄さん、ズルい!ボクも!と怒る顔はなんだか負け犬のようだった。 「月坡、ボクも愛してよ。兄さんのように、ボクもちゃんと愛して!」 そんな星玻の必死な顔はあのときやさっきの怖い星玻をまったく連想できなかった。 両手に華の状態で廊下を占拠していたら、仕事が休みだった父さんが起きてきて、「星玻、あまり月坡を困らせるなよ?」と星玻の腕を引っ張って、キッチンにつれていってしまった。当然、星玻は「父さん、離して!!」と大激怒をしていたが。 朝食はホテルで済ませてきた僕と色はリビングに向かって、リビングのソファに座る。家族がいるのにこうやって、ふたりでソファに座ることはなかったから、僕はちょっとくすぐったい感じがした。 「あのさ……、色……」 「ん?」 呑気にTVをつけようとする色は、僕の方に顔を向けて首を傾げた。 「僕、色だけのモノって、もう一度だけいって」 恥ずかし過ぎて顔を真っ赤にする僕に、色はくすくす笑って、いいよと答える。 「つきははおれだけのものだよ。つきは、だからおれだけをみて……」 色はそういうと僕に甘いキスをする。ソレはなんだか甘い罠に似て、僕はもう色から抜けだせれないんだと思った。  

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