朝食を終えた星玻が父さんから逃げるように、リビングに入ってくる。 「───ああああああ、兄さん、ズルい！」 入ってくるなり星玻がそう叫ぶのは、丁度、僕が色にキスをしていたからだろう。 「ズルくないよ。僕がしたかったからしただけだもん！」 僕が口を尖らせて、星玻を睨むと星玻は色にソレ以上なにもいわなかった。が、ボクもとキスをせがんできたことはいうまでもないだろう。 ソコに父さんが星玻を追ってリビングに入ってきて星玻にこういうのだ。 「星玻、ズルい！昨日、母さんとふたりでデートしたんだって！」 「ハアァ、ズルいって？母さんが無理矢理ボクと月坡を引き裂いただけじゃん！」 ボクは月坡と一緒にいたかったのに！と文句をいって、こう続ける。 「父さん、そんなに母さんとデートしたいんならいまから母さんとふたりきりでいってくれば？ボクは月坡といちゃいちゃしてるからさ！」 昨日の分も今日甘えるんだから！と僕の腕に自分の腕を絡めて、色に舌をだす。今日はボクと月坡がいちゃいちゃする番だというように。だが。 「ん？星玻、なに勘違いしてんだ？父さんは星玻とデートしたいっていってんだ。母さんは今日、仕事なんだぞ？」 父さんは星玻の腕を掴んで今日は父さんとデートをする日だといって、僕から星玻を簡単に引き剥がした。 「さあ、いまからでかけるぞ！」 「ヤダ！！離して！！！」 兄さん、助けてよ！とやはりこういうときだけ色に頼ろうとする星玻は、父さんに引きずられながらリビングをでていく。色は色で本当に爽やかに父さんに引きずられながらリビングをでていく星玻を見送るのだった。当然、星玻はいいたい放題だ。 「うわあああ～ん、兄さんのばぁか！卑怯者！確信犯！！」 その言葉は玄関をでても響いてて、近所迷惑になってなければいいんだけどと思う僕も、案外あざとかったりする。 「静かになったね…、今日はなにする？DVD鑑賞とかする？」 色にそういうのに、僕は色の太股の上に跨がって色にキスをする。その先はいわなくっても、解るだろう。僕らはその儘ソファで愛しあって、仕事にでかける母さんに呆れられたっていうことは。