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第51話 区切り【最終回】
「月~坡~!アンタね!発情期の猫じゃないんだから、いろんなところでしないの!」
母さん、物凄く恥ずかしいわ!と、半年くらい前に医師の前でいちゃいちゃしていたことを、母さんはいまだに持ちだしてくる。
「母さん~!ゴメン………!解ったから、お尻ペンペンするのだけは止めて~よ~!」
丁度、色との性情勃発中で下半身が丸だしになっている僕のお尻を母さんに平手打ちされ、僕は泣きながらそういった。
一番叩いて問題がない場所だっていうが、痛さは頭や頬の数倍増しで痛い。反省を込めてのお仕置きだとしたら、コレはもう最適の場所だろう。いっ回だけで悲鳴をあげて、ソレ以降はもう涙がボロボロと零れるから。
「じゃ、コレからは自室でしなさいよ。星玻だって流石に部屋までは乗り込んで来ないだろうし」
母さんは溜め息混じりにそういって、「母さん、いまから仕事にいってくるから、星玻が父さん振り切って帰ってくる前に自室に避難しておきなさい」と言い残して仕事にいってしまった。
「なんだかんだいって、色と付き合うのは良しとする母さんの考えが解らないよ」
叩かれたお尻をなしなしと撫でて、涙を拭う僕は溜め息をついた。
「う~ん、しずかさんはろうごのめんどうをちゃんとみてくれるひとなら、だれでもいいだよ」
色はそういって、僕を担ぎ上げる。そして、床に落ちた僕のズボンとパンツを拾い上げた。
「え、そんな単純なことなの?」
「ろうごのめんどうは、おやとしてはひっすかだいだよ。おかねがたくさんあればしせつにはいれるだろうけど、このごじせい、そのあきをまつのにもおかねがかかるんだ」
「ああ、高齢化社会だもんね……」
「そのあいだ、つきははともかく、ほしははぜったいにめんどうをみななそうでしょう?」
「ああ~、確かに……」
色は僕を抱き上げた儘色の部屋につれていく。僕の部屋だと星玻が簡単に入ってくるだろうという色の考えで。
「そのてん、おれならあんしんだって。ひろのぶさんもそういってた」
意外なところで信用を稼いでる色はくすくすと笑って、僕をベッドに下ろす。ちゃんと鍵をかけている辺りもぬかりはない。
「星玻より信頼されてるのは解るけど、陽香さんと苺花さんは悲しむだろうね……」
「それはないよ。おとうさんもおかあさんも、さいしょからつきはにせきにんとってもらうつもりだったから」
おれのふぁーすときすうばったの、つきはだしと色は僕にキスをする。そして、こうつけ加えた。
「おれはつきはいがいとはきすしないし、せっくすもしないよ。しょうがいおれがあいするひとは、つきはひとりだけだから」
ソレが家訓だというように、小野家ではファーストキスの相手が結婚相手らしい。つまり、僕はどう転んでも色と結婚しなくてはいけなかったようだ。
「なんか、ソレ聞いて安心した……」
「……?」
首を傾げる色はどうして?という顔をする。
「色は僕だけのモノって思ったから。でも、色、ゴメン。星玻がああだからキスは色ひとりってわけにはいかないや……」
そういって、僕は色にキスを返した。
「だけど、セックスは星玻に求められてもできないから安心して。僕の中に入ってイイのは色だけだってそう思ったから、もう僕は色のじゃないと無理なんだ……」
色、さっきの続きをしよと、僕は色を誘う。解された僕の中は色を待っているのだ。
母さんに邪魔されなかったら僕の中に入っていた色のモノを、僕は中指だけで撫で上げて色の上に股がった。色が生唾を呑み込んだのをみて、色、興奮してる?僕も色が入ってくるのを想像しただけで、身体が痙攣しそうだよと色の耳元で囁くのだ。
「つきは、すごくえろい……」
ん?色だからだよ。ねぇ、早く、焦らさないでと僕は腰をゆっくりと色の上に沈めた。
【ほしとつきのいろ】─完─
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