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第4話

目が覚めるとやはり獅子堂さんの姿は見られなかった。 しかも、今日は二ノ宮さんもいないらしい。 テブールには、ご飯とメモが置いてあった。 「しっかりと食べるように。あと、なるべく外には出ない。」 とだけ書かれていた。 (モグモグ。…美味しい?) (なんの味もしない。味付け間違えたとか?そんなわけない。俺の味覚が無くなったんだ。) (なんとかごまかさないと。…仕事とか恋愛とか大変だと思うし。) ガチャ 「ただいま。季里?」 部屋が真っ暗だった。 真っ暗の部屋から、季里がトテトテと歩いてくる。 (お帰りなさい。)と紙に書いた文字を見せる。 「今からご飯作るから、待ってて。」 (ご飯なんですけど、今日は少し薄い味が食べたいです。) 「…そっか。わかった。」 今日はご飯を食べている季里が少しぎこちない。 普段しっかりと味をつけたやつを好むのに。 しかも、あの美味しそうに食べる顔も無理矢理だった。 「ねぇ、美味しい?」 (…はい!美味しいです。) 無理矢理でも問わなければ。 「ちょっとそのお皿貸して?」 (?) 季里に隠れて、砂糖を少し多めに入れてまた季里に渡す。 「隠し味いれてみたんだけど、どう?」 (⁉…えっと、辛いです。) やっぱり、味覚がない。 「季里。味覚がないよね?」 (⁉そんなこと!) 「残念だけど、その料理に入れたのは砂糖。 少し多めに入れたからわかると思うんだけど。」 (…。) 「どうして隠すの?」 (それは…心配かけたくなくて…。) 「むしろ、心配するんだけど。」 自分でもビックリするくらい低い声が出た。 季里は体を震わせている。 「今まで、季里のためにってやってきたけど“余計なこと”だった?」 (そんなこと!) 「今日から、少し離れよっか。」 (え?…) 季里の目に涙が溜まる。 (やだ‼嫌です。ごめんなさい!) 必死にノートにつづっている。 でも俺は最後のページの言葉を見ずに別の寝室に入った。 ノート (ごめんなさい!俺…獅子堂さんのことが好きです。 でも、獅子堂さんが最近帰るの遅くって、そしたら、獅子堂さんにキスマークがついてて…叶わないってわかっているんです‼だから…)

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