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第18話
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ふたたび部屋にとじ込めて以来ジュリオから笑顔は失われた。
ベッドのそばにはリボンのかけられた大小の箱が山と並んでいる。ジュリオを喜ばせようと、バルバトスが用意した贈り物だ。しかしながらリボンが解かれた様子はなく、ただ虚しく積み上げられているだけ。
食事もほとんど口にすることはなく、ときおり声を殺して涙するといった始末。ジュリオは生身の人間だ、このままでは衰弱してしまうだろう。けれど心を閉ざしてしまったジュリオにとって、与えるべき薬などありはしない。
はじめは怒りに我を忘れて無体な振る舞いをしたバルバトスも、時間とともに頭は冷え意気消沈するジュリオを案じる。
「今日は宮殿を散歩してみるか」
「……」
褥に横たわるジュリオにそう提案するもの、かすかな歔欷きょきが漏れるだけで返事はない。
「ジュリオ、声を聞かせてくれ。俺はおまえを苦しめたいわけではない、ただ笑顔を俺に向けて欲しいだけなのだ」
少し淋しそうなバルバトスの声音。まるで乞うような科白にジュリオがおもてを上げる。
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