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第6話
すると兄ちゃんは「まあ待てって。ンな急がなくたって時間はあんだろ。先に腹ごしらえだ」と待ったをかけ、それからぼくを持ち上げると肩に担いでしまう。
「うわあっ、急にしたらびっくりするだろ」
「ったく郁はビビリだな。だからいつまでたってもチンコの玉が小せんだよ」
「なっ!──小さくなんてないやいっ、兄ちゃんのがデカいだけだろ。いなり寿司みたいにデロンと垂れ下がってさ、ぼくのは友達と同じくらいのサイズだもん」
兄ちゃんは優しいけど、いつもひと言多いからたまに喧嘩になる。けど適当にあしらわれてお終いだ、いつだって言葉でぼくは兄ちゃんに敵わない……力でも敵わないけど。
肩に担がれ兄ちゃんのおちりを見下ろしながら口を尖らす。もう兄ちゃんなんて知らないとへそを曲げていれば、どうしたのか急に低くて少し怖い声でぼくに話しかけてきた。
「……おまえ、ダチと見せ合ってんのか」
「? なんのこと?」
「さっき言ったろ、ダチに金玉見せたって」
「言ってないよ──……あれ、言ったかな。けど違うよ。わざと見せたんじゃなくて、トイレでおしっこしてるときやプールの着替えで見えちゃったりとか、そんな感じだよ」
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