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第8話

 3  ピザが届き楽しい昼ごはんを済ませると、ぼくらは二階にあがって目的を果たしに向かう。行き先は兄ちゃんの部屋、内容は”おとなの階段をのぼるための特別授業”だ。けどおとなの階段てどんな階段だ?  まあそれはいいとして、ぼくらは部屋に入ると兄ちゃんのベッドに座る。いつ来ても兄ちゃんの部屋は宝の山だって思う。めちゃ格好いいフィギュアが棚に並んでいて、本棚には人気のピヨピヨコミックが順番通りにそろっている。  それからベッド横の壁には水着の女がポーズを取ったポスターが貼られていて、今はその子ったらぼくの背中を見ている。と勝手に思っているだけだけど、やたら視線が背中に突き刺さるような気がして堪らない。  水着から溢れそうなオッパイが、ぼくには邪魔じゃないのかなと思ってしまう。けど兄ちゃんは「巨乳は男のロマンだろ」なんて熱く語っていた。そうかな、ぼくはべつに小っこくてもいいや。  なにやら兄ちゃんがクローゼットに顔をつっ込んでゴソゴソと、さっきから家探しみたいなことをしている。いったい何をしているのか気になって「なにしてるの?」と訊いてみたら、「まだ秘密。ちと待ってろ」とお預けを食らう。  はやくして欲しいな、でないと背中の視線が気になってしようがない。気を紛らわすため部屋を見まわしていれば、「おう、待たせたな」とぼくのまえに立つ。やっとか、とひと安心したもの、兄ちゃんの手には妙なものが───

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