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第10話

「えへへ、だって楽しみなんだもん。なにが出てくるかな──……なにそれ」  箱の中身に目が釘つけとなる。兄ちゃんが箱から引きずり出したモノ、肌色で少し赤黒くてかさが張っていて、長くて太くて玉袋まであって……。どの角度から見てもアレにしか見えない、アレだよアレ。チンコ、男のチンコ。  どうして箱からチンコがでてくるのか分からなくて、けど怖いくらいリアルなチンコに目が離せない。黒い箱から赤黒いチンコが出てくるなんて、どんなシャレだよとひとり心のなかでつっ込んでみる。  まさか本物──そこまで考えたところで兄ちゃんがぼくを呼ぶ。 「──おい、郁っ! おいったら、聞いてんのか。おまえ目え開けたまま寝てんのか?」 「あっ──ごめん、ちょっとびっくりしちゃって。だってまさか箱からチンコが出てくるとは思わないから、勇者・郁は電波の国に旅立っていた的な感じ? っていうか、その……」 「はあ? おまえ何言ってんの」  ぼくも何を言っているのか分からない。頭に浮かんだことをただ口にしただけ。たぶんぼくは、こんらん魔法にかかっていたに違いない。敵は兄ちゃんが持つチンコモンスター、ぼくにとっての強敵だ。

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