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第16話

 どうしてか、それはうまく説明できないけど、ぼくのなかの何かが「おちりを守れ」と言っている。  だけど約束をした以上それは守らなくてはいけない。最後まで授業を受けると誓ったんだ、勇気を出して兄ちゃんの部屋に向かう。ドアのまえに立ちノックをする。 「兄ちゃん」 『おお、入ってこいよ』  いよいよだ。このドアを開いたら後戻りはできない。それでもぼくは───  ドアを抜けるとソファに座る兄ちゃんがぼくを手招きする。テーブルには教材のローションとティッシュペーパー、兄ちゃんの手にはいつぞやのリアルチンコが。  今日はアレを使うと言っていた。どうやって使うのかは薄々想像がつくけど、あえて考えないようにしてきた。そうでないとクジけそうだから……。 「兄ちゃん、それ……」 「春兎二号だ。はやく来い」 「うっ……」  オモチャに自分の名前をつけるなんて、さすがだ兄ちゃん格好いい。だけどそれをぼくに向けてウネウネさせるのはやめて欲しい、今にも心が折れてしまいそうだ。深呼吸をしながら無心に服を脱ぐ。

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