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第1話
静寂を破る雑音。
ここは花火禁止のはずだが、若者達には関係ないようだ。
いつの時代も、馬鹿騒ぎは若者の専売特許か。
再び、身体を波音に委ねる。
「おにいさん、ここで何してるの」
声のした方に顔を向けると、体躯の良い青年が立っていた。
暗闇に慣れた目は、簡単に彼を捕らえる。
今風のフロントが長くサイドを刈り込んだ髪が、潮風に柔らかくなびく。
そこから覗く顔は、少年から青年になったばかりなのか、端々に幼さが残っている。
逆に、ゆったりしたTシャツとハーフパンツから伸びる手足は、明らかに大人の輪郭を現す。
「おにいさん、何してるの」
彼を無視して観察していたら、再び声をかけられる。
「波音を見てる」
目線を夜の海に戻してそう答える。
「そっか」
聞いてきた割に興味無さそうな返事をした彼は、断りもなく私の横に座った。
横目で彼を見ると、私と同じように夜の海を眺めていた。
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