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第2話

どれくらい経っただろうか。 小一時間か。 波音の中に入り込んだ雑音が、波長を崩す。 「おーい、ハヤト!どこ行ってんだよー!」 先ほど遠くに見た、青年の友人とおぼしき一人がこちらへ向かって来る。 「おにいさん、明日も来る」 青年の落ち着いた声に、しばし思案する。 「…さぁ」 互いに夜の海を眺めたまま。 もしかしたら、波音に消えたかもしれない。 「じゃあ、また明日」 青年はむくりと立ち上がると、雑音のする方へ歩いて行った。

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