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第9話

「カツミさん、もっと俺の名前呼んで」 まとわりつく激しい熱。 「ハヤトって呼んで」 木霊する甘い音。 「俺だけを見て」 目眩がする。 強請る若い熱は、全てを飲み込み引きずり込んでいく。 まるで夜の海のように。 呼吸ができない私は、ただ溺れるだけ。

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