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最終話
残る熱が夜の海を包む。
余韻が波音と重なる。
夏の幻想の所為にして、あの熱をもがいたのは、いつかの"また"が怖かったから。
『また会いたい』
そう言った幼さの残る笑顔に、いつかの"また"が忍び寄っていた。
それでもあの熱を離したくなかった。
『また、来年も、…ここに来る』
もちろん、彼の中であの熱は無かった事にされるかもしれない。
それこそ、夏の幻想として消えていくかもしれない。
ただ、いつかを決めれば、忍び寄っていたモノが遠退く気がした。
「ハヤト君、来年もキミに会いたい」
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