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それから
会話がないまま二人でお店に戻ると
杉浦が一人で待っていた
「…ご、ごめんね…」
「別に大丈夫だよ」
杉浦の優しい声に
ドキドキしてしまう……
「これひとつ、くれる?」
売れ残ったショーケースのイチゴショートケーキのホールを指さした
ショートケーキを2ピースだと勝手に思っていた僕は少し驚いた
「これから家族でクリスマスパーティーなんだ」
それに気付いたのか
少し照れたように杉浦が口を開いた
「さっきここに来た妹の誕生日でもあるんだけどね…」
……妹…?
そっか………
何か急に胸の中が軽くなり
自然と笑みがこぼれる
「チョコでメッセージ書く?」
「工藤が書いてよ」
チョコペンとプレートを渡そうとする僕に微笑んだ
その表情ひとつで
僕の鼓動は早くなり
胸が熱くなった
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