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第2話
僕には、親友がいた。
僕は体が弱かったので、親友は片時も離れず傍にいてくれた。
勘違いしてしまうほど、そばにいてくれたんだ。
僕が彼を好きだと自覚したのは、お腹が痛いと腹を押さえて倒れていた時だ。
僕を抱きかかえて、ベットに運ぶと見降ろしてきた。
彼のその、夜に光る翡翠色の瞳に心臓が早鳴るのを止められなかった。
彼の顔が近づいてきて、唇が触れるのかと期待した熱は、額に押し付けられた。
「熱はねえな」
お腹が痛いと訴えている僕の額と君の額を押し付けあう必要はあるのだろうか。
かわりに僕の体にじわりと広がった熱は、そんなままごとみたいな触れ合いでは足りなかった。
「薬は、飲んだのか? ああ、今日は雨か」
カーテンを開けて、曇った空を見上げる。
彼を意識したのは、それが始まりだったんだ。
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