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第2話
よしちゃん先生は俺の恩人、だ。
父子家庭の俺の親父は呑んでても呑んでなくても、暴力を振るう奴だった。
結構、こう、……妹の名誉に関わることもあって、誰にも相談できなくて。
周りも見て見ぬ振り、みたいなところもあったし。
でも、高校入学して間もなく。
よしちゃん先生は周囲のことなど気にせずに、そんな俺たちを助けてくれた。
いろいろしてくれて、親父と離れて妹とふたりで暮らせるようにしてくれたのも、よしちゃん先生だ。
おかげで妹も昔みたいに明るくなったし、感謝してる。
それ以来、俺にとって、よしちゃん先生はその、……うん。
袋から出して、カップケーキにかぶりつく。
よしちゃん先生はそんな俺を笑って見ながらコーヒーを飲んでる。
……というか、さ。
甘いもの嫌いなくせに、毎回毎回、女の子から差し出されるお菓子、受け取るってどうなのよ?
「今日の、誰から?」
「四組の、佐々木さん」
……四組の佐々木……というと、あのポニーテールの奴だっけ?
ありがとう、笑って受け取ってるよしちゃん先生が思い浮かんで……なんかムカついてきた。
「なんで修司くんは怒ってるの?」
「怒ってない!」
怒ってるよねー、そんなことを云いながら不思議そうなよしちゃん先生によけいに腹が立って、がつがつと乱暴にカップケーキに噛みつく。
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