3 / 5
第3話
……だいたいさ。
自分が女から貰ったもの、なんで俺の前に置くの?
そりゃ、そのぶん金が浮くのは嬉しいけど。
でも、俺としては、よしちゃん先生のことを好きな奴が、よしちゃん先生のことを思って作って渡したもの、ってだけで複雑な気分だよ。
……結局食うけどさ。
もう、ここでおやつ食べるの、習慣になってるし。
そもそも、よしちゃん先生と知り合ったのも、金なくて昼飯買えなくて中庭で蹲ってたら、おなか空いてるんじゃない?ってお菓子を貰ったことからだった。
……ん?
もしかして俺、餌付けされてる?
「だいたいさ、自分が貰ったもん、俺に食わせて罪悪感、ないの?」
「別に?だってそれ、修司くん宛だもん」
「は?」
……えっと。意味が全くわかりません。
「みんな修司くんがここでおやつ食べてるの、知っててさ。
『石崎くんに』って。
すごいよね、女の子って」
ほんとびっくりだよー、ふふふっ。
……ってさ。
え、これ、マジでよしちゃん先生に、じゃないの?
「僕宛のは結構早いうちに、甘いもの苦手だからって、断ってるよ。
でも、すぐに『石崎くんに』って。
みんな修司くんが精一杯、虚勢張ってるのが可愛いんだろうね。
だから直接は渡せなくて、僕に渡してくるみたい」
「……」
可笑しそうに笑ってるよしちゃん先生に、顔が熱くなっていく。
……っていうか、俺、みんなにそんなふうに見られてたんだ!
超恥ずかしい!
ともだちにシェアしよう!