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内心夜叉の如し

綾人。 僕の命が尽きる直前、思い出した君の顔は、 笑顔でも、泣き顔でもなくて、 君が僕に溺れた時の顔だった。 「んっ……や、エリン……!はぁ……っもぅ……お尻、変になっちゃう……!!」 「綾人、まだだよ……もっと深いところを抉ってあげるから、ね……!」 熱で浮かされた綾人を無理やり犯し、愛情という暴力で、綾人を辱めた。 寝巻きを剥ぎ取り、晒された裸体を必死で隠そうとする手を浴衣の帯で括りつける。 汗と涙と唾液が交じり、どうしようもない快感に歪む顔に愛しさを感じながら、舌を絡ませた。 浅いところで繋がった綾人の孔はヒクヒクと痙攣している。 そのまま一気に突き上げると、体をビクビクとさせながら、果てる。 何度も何度も突くたびに、綾人の陰茎からは白濁した物が飛び出していたが、もう出すものもないらしく、透明な液体だけがだらしなく垂れている。 綾人ももう動く元気がないらしく、ぐったりとしている。 「綾人……愛してる……」 「エリン……僕も、愛してる……出会ってからずっと……」 うわ言のように、綾人はぽつりと告白した。 嬉しい愛の告白に、僕は心が震えた。 昔から男が好きで、外見だけで関係を持った人数は多々あれど、綾人のように中身を好きになったのは初めてだった。 それに、綾人は僕のことを好ましく思っていたのも知っていた。 真面目で、あまり表情に喜怒哀楽を出さない。 けれど、僕が声をかけると、ほんの少しだけ綾人の纏う空気が色めいたのを僕は見逃さなかった。 その綾人の純粋な恋心につけ込んだ。 「綾人、僕に溺れて……」 綾人の肌には僕が付けたキスマークと、散々弄られたぷっくりとした乳首、薄い陰毛に萎えた陰茎が横たわり、たらたらと体液が零れている。綾人の後ろの孔からは、大量に注ぎ込んだ精液が溢れ出て、布団を汚した。 「エリン……僕はもう君に溺れてる」 僕に支配された体を布団に投げ出しながら、綾人はそう呟いた。 それから僕達は、卒業まで何度も何度も体を重ね、他の下宿生達にバレぬように関係を続けた。 そして、卒業の日がやってきた。 僕は、一年だけドイツに帰ることになった。 「綾人。一年経ったら日本に戻ってくる。君と共に暮らしたい」 「待ってる……エリンのこと、ずっと……」 こんなことなら、嫌でも日本に残れば良かったと後悔した。 僕は日本に帰ることなく、ドイツで死んでしまったから。

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