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第15話

手のひらから伝う、春臣の熱が伝染してくる。 指を動かす度、小さく漏れ出す甘い吐息にどうしようもなく興奮した。 「……っ「 」 腰が痺れ、腹に力が入る。 意識のない相手にこんな事をーー。 祖母たちにだって、見られたらーー。 そんな状況ですら、言う事を聞かないこの手が憎い。 しかし、劣情は増すばかりで、気付いた時には主張し始めた自身の膨らみにまで手が伸びていた。 「ーーっぁーーッ!」 布越しの刺激だが、俺には十分で無意識に声が漏れた。 同時に力が入ってしまい、晴矢の胸板を鷲掴みにしてしまいーー。 「ーー……痛い」 覚醒した晴矢と目が合った。 驚き過ぎた俺は、脚が跳ね、盛大に左膝をテーブルに強打した。 「ーーっい、た!」 「シー……うるさい」 痛みで大声を出した口を、塞がれる。 ゆっくりと上半身を上げた晴矢は、耳元に唇を寄せ「……えっち」、と一言だけ囁き頬に口付けた。 掠れた寝起きの声で、俺の理性は一瞬にして崩壊していく。 「ーーはる、やさん……俺ーー」 晴矢は少し困ったように、眉を下げて微笑んだが、俺の望んだ通りのものをくれた。 いつもより少しだけ、熱い唇ーー間接的に感じる酒の味で、俺まで酔ってしまいそうだ。 隙間なく重なった口の中で、昼間より積極的な晴矢の舌が動き回る。 昼から飢えていた俺は、必死だったーーもの音に気付きもしないくらい。 「……ン、ん……なん、で?」 「……静かに」 不意に離れたた晴矢が、人差し指を唇に当て静止してきた。 またお預けか、と言いそうになった時、ドアの閉まる音が耳に飛び込んできて、やっと状況を理解する。 ーー……ヤバい。 もう手遅れだろうが、思わず両手で口を押さえたーーそうしないと、心臓が口から飛び出してしまいそうだ。 ーー見られた?! 見られてない? てか、聞こえたんじゃーー……。 ぐるぐると考えていると、晴矢に手を解かれた。 「……大丈夫、多分トイレ?」 耳を澄ますと、階段を上がる足音が微かに聞こえる。 確かに、そうなのかもしれない。 胸を撫で下ろし、一息着く俺に晴矢は続けた。 「もう、お開きだな……おやすみ」 「……え?」 ゆっくりと腰を上げた晴矢のズボンを掴んでいたーー驚くほど、反射的に。 さっきまで、冷や汗をかき縮み上がっていたのは嘘のように身体は正直である。 ーーなんで、あっさり1人で帰るんだよ……。 だが、やはりそんな事言えるはずもなくーー。 「ーーーー晴矢さん()、行ってい?」

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