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第24話
幽霊とは、死後の世界、憑依ーースマホの検索履歴は、なんともオカルトチックな内容がずらりと並び、ため息しか出てこない。
祖父母達の寝室とはまた違う2階がこの家には存在する。
あまり主張のない襖の扉を開け、簡素な階段を登ると現れる小さな空間が、小さい頃からの俺のお気に入りの場所だ。
昔は母達兄弟の子供部屋だったみたいだが、今じゃ物置と化し、2畳ほどのスペースに置かれたひとつの籠椅子が哀愁を漂わせる。
半円形の籠椅子に腰を降ろすと、開きもしない参考書たちを床に落とした。
あの夜から3日弱ーーこの静かな空間で1日の大半を過ごしている。
その間で、分かった事はひとつだけある。
あの夜聞いた話は、嘘ではないーーと思う。
確証はないが、ただの別れ話にしては大々的過ぎるし、ましてやセフレを切りたいが為にあんな作り話を用意するのもおかしな話だ。
俺だったら、そんな手の込んだ事絶対にしない。
そう考えると、俺のとった言動はヒステリック以外の何ものでもなく、今冷静に見ると間抜けだ。
ーー……マジ、ダセェ。
何度か訪ねて来た伊月を避け続けているは、そう言う理由もあっての事だ。
直接聞かなければ、完全に理解は出来ないとは思うが、中々会う気になれない。
ーーあー……またか。
階段をゆっくりと上がってくる足音にまた、ため息がもれた。
「ばあちゃん! 今勉強してるから、またって言っといて……」
何度もメッセンジャーになっている祖母には悪いが、やはりまだ受け入れる自信も、器も俺にはない。
「……ばあちゃん?」
返事のない祖母が気になり、階段の方に目をやると、そこには今1番会いたくない人物が立っていた。
「紀智……久しぶり」
一瞬、息が止まった。
窓の外から聞こえていた、蝉の声もピタリと止み、全神経が伊月へと注がれていく。
ゆっくりとこちらへとくる伊月から目が離せない。
「押し掛けてごめん……少しだけ、時間をくれないか?」
片膝を着き、目線を合わせた伊月は少し顔色が悪ように見えた。
薄らと出来た隈 が、都合のいい解釈をさせてくる。
ーー俺の事、考えてくれてた……?
自意識過剰な思考だが、もしそうなら嬉しいのは事実で、単細胞な俺は絆されてしまいそうだ。
頬へ伸びてくる手を、自ら掴み取りたい衝動に駆られたが、グッと抑え既 の所避けた。
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