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第45話
乗り気はしないが、さすがに二度はないかとも思い、とりあえず隣に座った。
「ーーアイツさ、ああ見えてめちゃくちゃ頑固な奴でな……頭カチカチの癖にあれこれ考えて自滅すんだよ……まぁそこら辺、紀智に似てるかもな?」
「……あ? そんなんじゃ、ねーし」
確かに思い当たる節はあるが、こんな能天気な奴に言われる筋合いはない。
「まあ、聞けよ。お前がさ、前に話してただろ? 見た目で苦労してるっつーか……見た目しか見てもらえねぇって拗ねて……そんでこんなひねくれちまったんだろ? 伊月もな、そんな感じなんだよ」
初めて聞く話に、自然と耳は傾き、晴矢の方に身体を向け座り直した。
「ーー人間不信っての? そんな感じになっちまってな……俺に出来ることはねぇかって考えたらこの家を用意するぐらいしか、思いつかなかったんだよな……静かなとこで、ひとりでのんびりするって、都会じゃ出来ねぇだろ?」
自身に重ねると、素直に頷けた。
反面、そんな話しを伊月から一言も聞いた事が無くーー少し、罪悪感のようなものが芽生え晴矢を直視出来なかった。
「ーーバーカ、深く考えんなって……似てるからこそ、お前だったらアイツの事理解出来るんじゃねぇかって、思ってんだぜ? だからさ……お前らが、上手くいけばいいって思ってる」
「でも……っ」
自分が一方的に聞かせていた悩みは、伊月にとっては傷を抉る様な思いをさせていたんではないかーーと言うより、俺と居ること自体が苦痛なのではないかーー。
「……何となく、お前の言いたい事は分かるぜ……でもな、伊月も……お前の事、まだ好きだから、大丈夫だ」
「なんでそんな事、分かんだよ……」
「んー……お兄ちゃんの勘ってやつ? まあ、信じられねぇなら本人に聞くしかねぇな……早くしねぇと、明日の夜には帰るみたいだぜ?」
身体が大袈裟に反応してしまった。
後、2日はあると思っていたタイムリミットが大幅に縮まったーー早くしろと言われても、ただ真意を聞いただけで、どうにかなる問題ではない気がする。
策もなく突っ走ると、どうなるかなんて中3の時に経験済みだ。
何か、いい策はーーそう考え込んでいると、目の前の晴矢と目が合った。
「……なあ、明日さ昼くらいから入れ替わっててくんねぇ?」
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