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第46話
『B型、3月27日生まれ、好きな食べ物特になし、嫌いな食べ物特になし、趣味よく分からない、好きなタイプよく分からないが、多分男で新事実、ゲイではないと言い張っているらしいが、晴矢いわくゲイよりのバイ……ゲイだと伝えて来たのは晴矢のまたもや凡ミス、晴矢は生粋のゲイだったからと言う事だがーーこの情報はどうでもいい。後、出身は関東で現在は関西在住であるーー』以上が、この小一時間で晴矢から聞き出した伊月の情報である。
本当なら直接聞きたかったが、時間は待ってはくれないし致し方ないーー俺は、伊月の事を知らな過ぎる。
昨夜晴矢と話していて思った事だ。とりあえず、何か策が無いかとばかり考えていたがそれより先に、出来ることもあるのではないか、と晴矢の顔を見て閃いた。
伊月の事をもっと知れば、ヒントがあるかも知れないーーそう思い、1番詳しいであろう近しい人物に協力を要請した次第だ。
「ーーで、なんで関西に住んでんの? 転勤、とか?」
ベッドに寝転がり、あくびをしていた晴矢が起き上がり苦笑いを向けてきた。
「まだ続くのか……アイツの事ばっかで、飽きてきたわ。もうさ、とりあえず話せばどうにかなるんじゃね? こんな事してる余裕あんならさ、受験勉強でもしろよ」
既視感のある発言に、やはり兄弟なんだなと改めて感じたーーいや、大人なら、大体みんなこんなものかもしれない。今日家を出る前、祖母にも言われた。
この時期にも関わらず、行く学校すらまだ決めて無い為、心配しているのかも知れないが、今は目の前の事に集中させて欲しい。
「……俺頭いいから、いいんだよ……てか、伊月さんにも同じ事言ったじゃん? 聞いてたんだろ?」
「んー? んなこと言ってたっけなぁ? 覚えてねぇわ……」
のんきにまた大口を開け、あくびをする姿が目に入る。
ベッドの上で涅槃のポーズを決め、だらけきった姿を伊月の身体でしないで欲しい。
「……で、なんで関西に住んでんの?」
「やっぱ終わらねぇかぁー……これで最後だからな? 伊月と話す時間無くなんだろ……大学が関西だったんだよ、んでそのまま就職したからーって感じだな」
「へえ……大学どこなの? 学部は?」
「……おい、人の話ちゃんと聞いてんのか?」
「聞いてるから、会話になってんじゃんーーで?」
項垂れた晴矢は、俺の座っていた床に置かれたペットボトルに手を伸ばして来たが、わざと遠くへ追いやった。
時間が無いと言うなら、水を飲む時間も無駄には出来ないだろう。
「…………K大、経営学部ーーはい! もうおしまい! 水くらい飲ませろよ、喋りっぱなしで疲れたわ」
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