3 / 12

1の3 あずかりもの

『我に身を預けて楽にしておいで』  雨の神様に包み込まれてるからすっかりお任せ状態なので今さらだけど、意識して力を抜いたらまた良い子だと誉められた。  神様たちに出会うまで人様に誉められたことなんて一度もなかったから、なんだかくすぐったい。 『おや、少し笑ったか? 嬉しかったかの』  良いことだと満足そうな雨の神様が、チュプッと水の音を立てて僕の肌を探りはじめる。  水でぷよぷよなのにちゃんと力強くて、湿り気があって少しぬるぬるなのに触られる肌はさらっとしてて。マッサージってこんな感じなのかな。不思議な気持ちよさだ。  そういえば、もう一人の気配がなくなってるのに気づいた。 「風の神様、いないよ?」 『食糧を集めに行ったのだろう。我らの封じが解ければしばらくは嵐が吹き荒れる。そなたも神殿から出られなくなるゆえな』 「嵐?」  くぷくぷと僕の身体を解しながら答えるのに、僕は後ろを振り返りながら聞き返す。全身包まれてるのに、雨の神様は背後にいると僕は認識してたから。  雨の神様はそうだよと肯定して僕の子供らしいふくふくのほっぺたに頬擦りした。 『千年分の雨を降らせては島が沈んでしまうから極力抑えるつもりではあるが、封じられている荒ぶる力を全て抑えることはできぬ。しばらくは雨の多い天候となろう』  そうなんだ、と頷くしかできない。  なるべく早く人里に渡れるようにしてやろうと言って僕を宥めてくれるのに、素直に理解を示す。別に急がなくても良いし。  それよりも、神様たちと離れるのが怖い。  撫でられて肌を緩められて、くぷりとお尻に入ってくる柔らかくて固いモノを自然に受け入れる自分に驚いた。  いつもは痛くて意識を飛ばしていた瞬間なのに、痛くないどころかムズムズが満たされる感じ。はふっと息を吐き出す僕に上手だと雨の神様がまたまた誉めてくれた。  出入りするというより、中に入り込んだ塊がムギュムギュ動いている感じが不思議で、なんとなく身体の中に意識が向く。  他を気にしてなかったから、急に僕自身の子供のままの性器が擦られてビクッと大きく震えた。 「ひゃっ!?」  うん。気持ち悪いわけではない。単純にびっくりしただけで。  僕の反応に雨の神様はご機嫌にクックッと笑った。 『身体は大人であったのだな』 「ふぇ?」 『反応しておるぞ。心地よいのであろう』  言われてびっくりして自分を見下ろす。透明な雨の神様の中で、僕自身が自己主張していた。  お客さんのは毎日何本も見てたけれど、自分のは初めてだった。大人のモノに比べたら幼いピンク色で、プルプル震えている。自分のものなのに自分のものに思えなかった。 「カワイイ……」 『自らのモノを愛でるそなたも、可愛らしいぞ』  何だか微笑ましく笑われて、ちょっと恥ずかしくなる。自分のものを相手にカワイイとかいう僕が不自然すぎた。  でもほら、普段黒ずんだ大きな大人のモノばかり見ている僕には、自分のモノとはいえピンク色で細くて小さくてプルプルしてるそれはむしろ物珍しい。生まれたての小動物に近い感覚。  ニュルっと雨の神様に包まれて擦られて、背筋をゾクゾクした感じが走り抜けた。 「ぁふっ」 『うむ。そのまま身を任せておれよ。少し動くぞ』  おしゃべりはおしまいだ、とばかりに。柔らかくて固くてツルツルでぬるぬるの雨の神様が僕をがっちり抱きあげ直す。肌を滑る感触に快感がじわりじわり高まっていく。  あぁ、抱かれるってこんなに気持ちよかったんだ。 「ぅあっ……ん、っく。ぁ、れ? あつ、い……?」  ぐちゅぐちゅと音がするのが生々しくて雨の神様に抱きついて顔を埋めていたのだけど、お腹の奥深くが段々熱くなってくるのに気づいた。僕のお腹にそんなに奥まで入るのに驚く。  そうか、胃から繋がってるんだから長さが自由なぷよぷよ神様ならどこまでも入るのか。  て。 「あっつい!」 『もう少し我慢しておくれ。ほら、もう終いだ』  急に燃えるように熱くて身悶えて訴えたら、神様に宥められてしまった。熱かった塊はじんわり冷えてきて、段々心地よい温度に変わって、やがて分からなくなった。  最後にきゅぷっと神様の身体が引き抜かれる。 『よく頑張ったな』 『労うのは良いが、我の分が残っておる』  雨の神様に労われた言葉にかぶって風の神様の声がした。  陸の方に目を向けて、果物が色々たくさん入った枝の籠を草地に下ろす風の神様に巻き付く蔦を見た。桃と林檎と大きな蜜柑と、見知らない果物と。何日分なのだろう。 『渡したくないのぅ』 『何を馬鹿な。雨のだけ解放されても意味があるまい』 『そういう意味ではないわ、無粋者め』  ほれ寄越せ、と言って、今度は風の神様の蔦に絡めとられて引き寄せられた。  表面はチクチクなのかと思ってたのに、全然そんなことはなくて、くねくね動くから固いとは思ってなかったけれど、弾力は少しだけで意外とがっちりしている。僕の痩せた腕より細いのに力強く僕を抱き支えてくれていた。  雨の神様が緩めてくれた中に僕の親指ほどに細い枝が忍び込んでいく。 『雨の。暇なら手伝え』 『おや、良いのか?』 『我の身体では子の身体を傷つけてしまうことくらい自覚しておるわ。良くしてやれ』  命令口調なのに偉そうに敗北宣言。  雨の神様も笑って同意して、風の神様ごと僕たちに巻きついた。  陸に上がってようやく分かった雨の神様は、ものすごい大きさだった。僕が抱きついてもベタンと張り付くだけな風の神様の太い柱を丸々抱き込んでも余裕って、スゴい。  さっきまで抱かれてたから慣れた感触が戻ってきて、条件反射的に身体の力が抜ける。とろとろぷよんな雨の神様に包まれてると気持ちいい。  風の神様もしっかり腰を支えてくれていて、固くてスベスベの蔦に胸やお腹、腰辺りをくすぐられる。ムズムズとふわふわが同居する、さっきとはまた違った快感があって、背筋を走る刺激が癖になりそうで。  細い風の神様の枝はその細さのおかげでどこまで入ったのか分からない。表面の刺激が強すぎて中が追えなかった。  主に刺激を感じてるのは、今日初めて元気になった自分のアレ。雨の神様にすっぽり覆われて風の神様の細い蔦がクルクル巻き付いてるソレ。 「ゃん、何……か、出そ……」 『子よ。具合でも悪くしたのか?』  具合は悪くないけど。なんとなく違う気がするんだけど。 「ん~……もれ、そぉ……?」  口に出した途端、神様たち二人揃ってピタッと動きが止まった。  いや、止まられると僕が困るんだけど。刺激が欲しくて頭がぼーっとする。 『そなた、もしや……』 『……未通であったか』  未通? 「な、に……?」  分からないから聞いてみる。僕ができる唯一の解決法だ。  そうして神様たちを見上げたら、またまたぎゅっと抱き締められた。僕のモノに絡み付いた風の神様がキュキュとそれを擦りあげる。 『ここで精を吐いたことがないのであろう?』 「精?」 『うむ。子種が詰まったモノだ。快楽を高めてメスの胎内に吐き出すのが普通よな』  あ、お客さんたちが僕の中やお腹や口に出すやつだ。説明されて気がついた。僕はまだ出したことがなくて、お客さんにはまだ子供だからだとからかわれてた。 「白いの?」 『……うむ、それだ』 『幼き表現は卑猥だのぅ』  正解なのに言い淀んだ雨の神様と何故か大爆笑の風の神様と。  何が可笑しいのか分からないから首を傾げたら、これから良いことを教えてやろうと頭を撫でられた。雨の神様は呆れてるっぽい。  で、風の神様は次に「体験してみるか?」とのたまった。  改めてもぞもぞ動き出した風の神様と、少し遅れて追随する雨の神様と。  強く弱く揉まれて握られて、先っぽを抉る風の神様の枝の刺激に背筋に電気が走るようなビリビリした感覚があって。 「きゃうっ」  思わず我ながら可愛い悲鳴をあげてしまった。脳裏が弾けるような快感とぴゅるっと吹き出す感覚で一瞬思考が真っ白に麻痺してしまう。  なに、これ。気持ちよすぎてコワイ。  頭の中がトロトロでぽや~っとしているうちに、風の神様の蔦と枝が僕の身体から離れていく。僕から吐き出された白いドロドロのものが雨の神様の中に溶けていくのを見ている間の出来事で、きゅぷっとお尻から風の神様が抜け出る時にようやく抜かれたのが分かったくらいだったんだけど。 「あれ? 風の神様、おしまい?」 『うむ。終いだ』 「分かんなかった」 『それで良い。しっかりそなたの腹に間借りさせてもろうておる。心配無用だ』  よく頑張った、と再び労われた。それから、またもや雨の神様に抱き上げられる。どうやら移動するらしい。

ともだちにシェアしよう!