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第5話
もう冬の気配がしてきた。街はクリスマスムードになっている。因みに俺の家庭のクリスマスプレゼントは、現金だ。夢も雰囲気もあったもんじゃない。まぁ要らないもの貰うより、小遣い貰って好きな物手に入れたほうが、楽しいっちゃ楽しいわな。
寒いのが苦手な俺は、歩いて3分のスーパーに行くのも億劫だ。だけど基本週末にお泊りに来る彼氏こと蓮の為に、恥ずかしながらルンルン気分でお買い物に行くのだ。齢40代。見た目はディウォーカーのお陰で20代に見えている。
男の俺に彼氏が出来たのはつい半月前。友人から格上げって感じかな。思春期の娘もいるが、全くもって動じていない。それどころか付き合えって、後押しした張本人だ。暫く頭が上がらないだろうな。
蓮は、フリーランスで働いている。詳しくは知らないけど、ある程度時間は自由に出来るみたいだ。彼氏になってすぐの頃は、毎日俺の家にきてた。だけど、そんなグダグダじゃいけないと思い、学生の娘も居るし、生活のリズムも整えないといけないと基本週末に会うことにしている。俺にしたって慣れない株取引の扱いやらで、時間がいるし。蓮はかなり抵抗したが、父親特権で決めたのだ。
そうそう、近所のスーパーの目の前に美味いケーキ屋があるから、クリスマスケーキも予約しておこう。ケーキも父親特権で生クリームにイチゴのホールだ。娘は苦手らしいけど、金は俺が出すんだから勝手に決めてる。蓮は、甘い物が苦手らしい。こんなに美味い物食えないなんてちょっと可哀相だ。とりあえず、小さめのホールを注文した。後はチキンだけど、まぁ某有名なチキンの店で買おう。
「いらっしゃいませ~只今タイムセール中につき、どの商品もおやすくなっておりま~す。特に・・・」
ラッキー、夕方のタイムセールが始まったらしい。まだ収入も安定しないから節約、倹約に努めています。
「え~と、メモ・・メモ」
一通り、買い物を終えるとすたこらサッサと家に帰る。うわ~さむっ!住んでるのは九州の地方都市。なのに関東より寒いってどういう事?足早に帰宅して夕食を作る。華は、まだ帰ってないようだ。離婚して10年余り。もう家事も手慣れたもんだ。3人分なんてあっという間に終わる。
ピンポ~ン。何とも慣れないインターフォンが鳴る。数年住んでるが、今一つ気に入らない。華のご帰宅だ。タダイマの挨拶もほゞないまま自分の部屋へ。反抗期に思春期だ。扱いにくいお年頃。そっとしておこう。
暫くすると、またインターフォン。蓮だ。
俺と血液を介して交わった(まぁ別の件でも交わったけども)何だか気配やらを感じ取れるようになった。でも来るの早くね~か?まだ4時だぞ。
「いらっしゃい。仕事お疲れ。もう夕飯出来てるけど早いから、何かする?」
聞いたのが馬鹿だった。
「エッチしたい。」
蓮の巨体が、数メートルではあるが、俺の飛び蹴りで宙を舞った。
ぶつけた所をさすりながら、冗談に決まってるだろ。とかブツクサ言いながらリビングに向かった。
どうやら、本気で冗談らしく、観たかったケーブルテレビを観始めた。謝らないぞ。俺は悪くない・・筈。
夕食の時間、天岩戸と化している娘の部屋にご機嫌伺いに行く。
「華~夕ご飯出来たよ、食べようよ。」
少し扉を開けて、会話をする。
「今日の夕飯何?」
そう、気に入らないオカズだと食べないのだ。う~ん何処で躾間違えたかなぁ?
「今日シチュウとマカロニサラダ。どうする?」
「食べる。蓮さん来てるの?」
「来てるよ。一緒に食べよう?」
なんで其処で蓮が出てくるのかは、後に知る事となる。
夕食も済み、華、蓮、俺の順番で風呂にはいる。何故、俺が最後か?俺が先だと蓮が入ってくるからだ。もうね、今どきの若者は一線超えたらどれだけ自由なの?オジサン着いていけてない。
そりゃ初エッチから2週間位経つし恐らく、若い蓮はエッチな事やりたいんだろう。分かるよ俺も男だし。だけど初めての時、感じたバックの感覚それから多分挿入されちゃう側としては、何だか物怖じしちゃうわけ。それを分かっているのか風呂の件以外では、過剰なボディタッチはして来ない。エライね、蓮君。もう少しオジサンの心の準備を待ってくれ。
「そういや、明日なんか予定ある?」
蓮が聞いてきた。
「特にはないよ。なんで?」
「・・・・ベット買いに行かない?」
・・・・そうか、蓮。お前、準備を先にするつもりだな。
「・・・分かった。行くよ。華はどうする?」
風呂上り楽しそうに蓮とお喋りしていた。俺とは面倒くさそうに話すのに。 パパやっぱり寂しい。
「なんでデートに娘が一緒にいくんだよ。バッカじゃない?」
俺には塩対応なんだな。
夜も更け、華と蓮が何やら漫画の話で盛り上がってはいたが、そろそろお休みタイムだ。
「もう、寝るよ。早く寝ないとお肌に悪いよ?」
「・・・余計なお世話!」
華ちゃんお怒りモードで、部屋に戻る。あ~朝が憂鬱だ。蓮も腰を上げて俺の部屋へ向かう。
シングルベットにデカい男2人。少々無理がある。やはりベットいるな。それに恋人とこんなに密着しているのに手をださない蓮も凄いかもしれない。基本的には優しい男だから、何もして来ないと判ると俺は蓮の胸の中で安眠できる。
「お休み、蓮。来てくれて有難う。明日楽しみだね。」
そういうと、蓮は本当に最高のほほ笑みで、俺の額にキスをした。
「お休み、凛。愛してる。」
俺にはまだ言えないセリフだけど、本当に幸せな気分で眠りに落ちた。
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