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第30話

 オ・セブレイロの峠を越える。30kmの最期の難関だ。2回目だけど、やっぱキツイ。だけどカミーノの醍醐味でもある。無言でひたすら歩く。  なんとか、村に到着。早めに着いたので巡礼宿を確保。質素な宿だが、これぞ巡礼って感じだ。隣の教会に行って無事峠を越えられた事を感謝する。後150km位でゴールだ。  華に電話する。夜中かも知れないけど、いいか。  「もしもし、華?パパだけど。」  〔ああ、姫、あ、パパ何?〕  「ひ、姫って何?・・・あと1週間位で帰れそうだよ。」  〔3人で、歩いてんでしょ?大丈夫なの?襲われたりしてない?〕  「・・・うん、大丈夫。2人共優しいし。」  (食われちゃったんだけど・・)  「さっきの姫って、何?」  〔あぁ、気にしないで、じゃ遅いから切るわ。頑張ってね~〕  姫って何だよ。気になるじゃないか。  「何か言ってた?」  蓮が聞いて来た。  「何か3人で歩いてるの知ってる、んで俺の事、姫って言ってた。」  「そう、姫ねぇ。」  ゲラゲラ笑ってる。ケンまで。何だよ、わかんないよ。  天気も良く順調に歩を進める。数カ所の街を抜け、モンテ・ド・ゴッソだ。”歓喜の丘”とも呼ばれて、ゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂が見える。  「何度来ても、感動するね。素晴らしい!」  ケンが興奮気味に言う。俺も賛同する。蓮は初めてだ。少し目が潤んでる。感動してるようだ。約670km歩いたんだ。凄いよ、蓮。最初、100kmって言ってたのにね。  今回は、サンチャゴに真っ直ぐ入る。最期の最期だから、今日はホテル、大聖堂の近くに泊まる。ケンが、既に予約入れてるから安心だ。俺は懇願して、個室を頼んだ。油断したら、またスィートルーム取られてしまう。  「お疲れ~、夕食行く時電話して。」  そう言って、各自の部屋に入る。シングルなんてないから、ツインに1人だ。広い。汗臭いから、まずシャワー。風呂に入ったら何か眠くなった。ベッドに入り、夕寝しよう。  「・・・・?」  暫くすると、何かモゾモゾしてる。布団を捲ると。  「何してんの、ケン。」  「あ、起きちゃった?」  起きるわっ!  「何してんの!俺、眠たいのっ!大体、何で俺の部屋入れたんだよ。オートロックだろ?」  「カードキー僕が持ってる。」  いや、満面の笑みで答えられても。  「疲れてるでしょ?血液あげにきたよ。」  うーむ、本当にそれだけか?腕を出され、口を添え血液を飲む。  「ふう、ありがとう。やっぱ疲れてたみたい。眠気も取れたよ。」  ケンの手が服の上から、俺の身体を弄る。  「こ、こらっ!あと1時間位で夕食だろっ!止めろってっ!」  もしや、ケンも蓮と同じタイプか?類は友を呼ぶ。・・・。  スエットの上から、股間を揉まれる。  「あぁ、駄目だってば!」  血液を飲んで身体は充実してる。アッと言う間に勃ってしまった。  「うん、時間ないからバックだけで良い?」  いや、そう言う問題じゃない。  「馬鹿か、止めろ。頼むからやめて。」  「無理。僕だって我慢したんだ。」  知るかよっ!  スッとスエットに手を入れ、双丘の奥に指を這わす。ケンの腕を掴み、抵抗する。  「そ、そんなに嫌?」  「うん、嫌だ。嫌な事されたらケンの事、嫌いになると思う。」  「・・・分かった。」  そう言うと、素早く勃ってる俺を口に含んだ。  「だ、だから、やめっ!」  殆ど根元まで咥えられ、激しく舌で煽られる。  「ウワァッ、うんっ!ケ、ケン、激しい!」  顔を上下させ、強く吸い上げる。  「ハァ、ハァッ!んんっ!」  腰がケンの口の動きに合わせて動いてしまう。  「だ、ダメって言ってるのにぃっ!」  無視して、追い立てる様に刺激を与えてくる。ケンの背中にしがみ付き、快感に耐える。ケンも自分のモノ扱いてる。俺のを咥えながら。凄くいやらしい。軽く先端を甘噛みされた。  「んあっ!ケ、ケンッ!・・・良いっ!」  駄目だ、俺流されやすいなぁ。背中と髪の毛を掴み、ケンの口に自ら出し入れする。  「・・んっ、くっ!」  時折、ケンの声が漏れる。苦しいのかと思ったけど激しく自分のシゴいてる。ケンの舌が尿道口をクリクリッと捏ねる。  「ンアッ!んん、ダ、ダメッ!ソコ駄目!」  顎が上がる。気持ち良い。先走りが溢れるのが分かる。  「も、もう出そうっ!ケン、出ちゃうっ!」  根元まで咥え、強くバキュームされた。  「うあっ!で、出る!く、口離してっ!」  口から抜こうとするけど、ケンは離さない。チュウチュウと吸う音がする。ケンも自分のモノの先端をグリグリ摩ってる。もう先走りで濡れていた。  「クゥッ!イ、イク!ケン、出るっ!」  身体を丸め、ケンの背中にしがみ付き、口の中に精液を出してしまった。  「んっ、んんっ!」  ケンの身体もビクビクッと揺れた。ほぼ同時に達したみたいだ。  「・・・飲んだの?」  「うん?うん、飲んだ。初めてだったけど勿体なくて、飲んじゃった。」  何が勿体ないんだ?  「スッキリしたでしょ?僕もスッキリしたから、おあいこだね。」  そ、そうなのか?蓮にバレたら、なんか面倒くさくなりそうなんだけど。  コンコンとノックされた。ヤバい。蓮が来た。ケンが居る。修羅場か~っ!?  「ふ~ん、なんかお楽しみの臭いがするんだけど。」  やっぱ、バレた。  「ケンが、一方的にして来たんだよ?俺嫌だったのに。」  「え~、酷いなぁ。ノリノリだっ・・・・」  蹴りを食らわす。  「じゃ、今夜は俺の相手してね。」  「丁寧にお断りします。」  何でだよ~っ!と叫ぶ蓮。俺はセックスドールじゃない。・・・何か悪戯心が湧いてきた。  夕食の為にレストランに行く。  「何でそんな格好なんだよ~!」  髪はアップ、上は体にフィットしてる薄手のシャツ。下はスキニーパンツ。身体のラインが出る服にした。さらに能力も意識して出す。シャツは直接着てるから、胸も薄っすら透けてるかも知れない。男性からの視線が痛い位集まる。  「誘ってる様にしか見えないっ!」  まだ何か言ってるが無視。ワザと前を歩く。2人ともケツみてるな。馬鹿め。見せるだけだ。ヤラせないからな。  あんまり2人の反応が可笑しくて、笑いっぱなし。ワインも進む。顔や身体に紅みが射す。  「凛、エロ過ぎ。」  蓮が低い声で言ってくる。  「ククッ、ワザとだもん。反応面白すぎるっ!」  ろくに食べずにワイン飲んでるから、酔ってきた。ケンは頭を抱えてる。おもしれ~わ。  「ちゃんと食べて。悪酔いするからっ。」  お前は母親かっ!面白い。  俺はゴールの充実感と酒が入り酔いも手伝い、超ご機嫌でホテルに帰る。すっかり酔いが回り、蓮やケンに抱きついたり言葉も分からない巡礼者や地元の男性からの声掛けにカタコトの英語で返事したりして。  部屋に戻ると(もはや誰の部屋か分からない)パッパッと服を脱ぎ、ボクサーパンツ一丁で、ベッドの上を飛び回る。  「凛って、酔うとこうなるの?」  「俺も初めてみたから、分からない。」  2人とも呆れてるが気にしない。帰り道に買ったワインを開けようと奮闘するも酔ってるから中々開かない。  「もう、今日はお終い。」  ケンにワインを取られた。  「返せ~、俺のだ~!」  蓮は、帰ったら良い雰囲気作って、エッチしたかったんだろうが、泥酔してる俺を見て諦めたらしい。バスローブで包んでだき担いだ。  「部屋で寝かせて来る。待ってろ。」  あれ?俺の部屋じゃなかったのか。部屋に入るとベッドに寝かせられ  「明日はボタフメイロ見るんだろ?早く寝ろ。」  頭を撫でられる。  「う~ん、わかぁった。寝るぅ。」  スゥーッと眠りについた。  「ありゃ、飲ませるの注意しなきゃヤバいな。」  「僕もそう思う。」  凛が買ったワインを開け、ケンと寝る前に一杯。  「あのさ、確かに凛に触れて良いって言ったけど抜け駆けはどうかと思うよ。」  「・・・うん、悪かった。ごめん。」  「あくまでも、俺のパートナーだからな。忘れるなよ。」  コイツは本気で凛の事が好きだ。嗚咽しながら俺に告白した。だから、許したんだ。ケンは優しい。凛に酷い事はしないと信頼したから。だけどいずれ別れが来る。俺達はディウォーカーだ。歳を取らない。ケンは時間と共に老いていく。辛い別れがあるからこそ、許した。  「僕もディウォーカーになりたい。」  「例え、ディウォーカーになってもお前1人だぞ。イタリアで1人でどうする。」  「日本へ行く。」  考えが甘い。多分、凛と離れたくないからだ。  「ディウォーカーになるのは、俺達が勝手になれる訳じゃない。神の御心次第だ。」  そうか・・・と諦めたみたいだ。お前まで化け物になってどうする。俺達は流浪の民になるんだぞ。  翌日、大聖堂でボタフメイロを観た。凄い荘厳と迫力。長かった旅も終わる。ちょっと目が潤んだ。凛も、長い旅から日本へ帰る。ケンともお別れだ。  「ケン、ありがとう。2回もカミーノ付き合ってくれて。助かったよ。」  「凛、凛、凛・・・」  離し難いんだろう。恋い焦がれ、気持ちも身体も交わし合った仲だ。ケンは強く凛を抱きしめる。どうやら泣いている。  「泣かないで、ケン。また会えるよ。」  優しく宥める凛。凛もまた愛おしいのだろう。    「ここで別れよう。空港まで来たらもっと辛くなる。」  「そうだね。ケン、本当に有難う。」  凛は背伸びして、ケンの唇にキスをした。周りの目など気にしない。愛してるとキスで表してる。多少、妬けるけど仕方ない。  大聖堂の前で別れた。姿が見えなくなるまで互いに手を振って。  「大丈夫?泣いてない?」  「泣いたっていいじゃないか。次いつ会えるか分からないのに。」  最初のカミーノの時はどうだったんだろ。  2日程かけて日本へ。  自宅も約2年振りじゃないだろうか?  「華、ただ今!」  部屋中に食べ物の良い匂い。  「和洋折衷だな。酢豚にカレーに、沢山作ったね。有難う。」  「パパも元気で良かった!」  今日は日曜で、健太も来ている。  「俺が居ない間、華を支えてくれて感謝してる。有難う。」  「いいえ、元気になられて良かったです。旅の話、聞かせて下さい!」  健太はいい奴だ。コイツなら、華を嫁に出しても良いと思ってる。  また、この家から平凡な日常が始まるんだ。俺の居場所はここだ。  宴も終わり、最後に  「この画像、使って良いか確認したいんですが。」  USBを出してきた。なんの写真かもう記憶に無い。とりあえず、見る事にした。  「・・・出して良いか悪いか、俺が言うまでもないよな?凛。」  「流石にこれは、ちょっと・・・」  華も引いてる。  俺は画像を見て居た堪れなくなってPCから離れる。  「・・・これ、アウトで宜しく。」  健太は、勿体ない~といいながら、USBを抜いた。  またモデルの依頼は来てる。う~ん、引き受けて大丈夫なのか?不安だ。

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