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第33話
華とイベントの打ち合わせと入場カード貰って別れる。華は華で、サークル仲間と楽しくやってる。
食事を済ませ、各自、自由に何かやってる。ケンは、仕事みたい。忙しなく電話とパソコンで作業。蓮は、マッタリとソファーでテレビ。俺はのんびりメインの広い風呂で温まってる。上がって、水飲みながら
「じゃ、先に休むね、お休み~。」
お~。と手をヒラヒラする蓮。ケンとじゃんけんで負けて、ソファーで寝るらしい。デカイベッドあんだから、一緒に寝れば?と言ったら
「気持ち悪い。」
俺とどう違うんだよ。
サブの部屋も広めで、寛げる。髪を乾かして、スマホゲーム。RPGなんかじゃなくリバーシだ。オセロだな。まぁ、オセロが馴染む。
気がつくともう10時か。トイレ行って寝よ。
リビングで寝てる蓮。流石に疲れるよな。寝顔は結構幼くて可愛いんだけどな。
トイレから出ると蓮が起きてる。
「ごめん、起こした?」
「いや、寝心地が悪くてね。」
そりゃそうだ。身体デカいし、ソファーからはみ出てるし。
「凛のベッドに行ってもいい?」
珍しい。いつもなら、聞かなくても潜り込んで来るのに。
「仕方ないね、いいよ。・・・ただし何もしない約束で。」
ほーい。と返事して、セミダブルに一緒に寝る。
家じゃ、一緒に寝てるんだけど。いつもの定位置にモゾモゾと動いて収まる。蓮が俺の髪に顔を埋めて落ち着く位置を探してる。
やっぱり、パートナーは蓮だ。ケンも好きだけどね。平等じゃない。
ウトウトしてきたら、下半身をモゾモゾ這い回る手。
「何もしないって約束だろ?」
「え~、駄目?俺、2人でエッチしたい。正直、ケン入れたくない。」
そうか、ケンは仕方なく受け入れてるんだ。3人で居ると確かに少し妬いてるし。
「・・・本番無しな?」
「抜き合い?うん、それで良い♪」
横向き、向かい合わせになって互いの息子を扱く。そして、恋人らしいキス。昨夜の情熱的なSEXも嫌いじゃないけど、こんな風に確かめ合う優しいSEXも大好きだ。2本擦り合わせて同時に擦る。手が俺より大きい蓮が纏めてこすり合せる。俺は2人の先端を弄る。
「んっ、良いっ!」
「声、抑えて。ケン、まだ起きてる。」
・・・。
「ふっ、んっ、くうっ!」
「ん、ふぅっ、あっ!」
もうどちらの喘ぎか分からない。昨夜も今朝もやって、かなり敏感になってる。片手で蓮の顔に触れながら、追い立てる。
「・・・・んっ、で、出そうっ!」
「俺も出るっ、凛!」
擦るピッチが上がる。2人の先端からは先走りの汁が溢れてる。慌ててティッシュを当てて、2人同時に濁った液体を吐き出した。
「はぁ、ん、もう何もしない筈だったのに。」
服を整えながら、文句を言う。
「凛のエロオーラに負けた。」
俺の所為にするなよ。モゾモゾして、安眠場所に戻る。軽い疲労感で眠気が強くなった。スゥーっと引き込まれる様に眠った。
翌朝、6時。ケンはかなり眠そうだ。途中、コンビニで朝飯を買ってイベント会場へ。そういや、前回イベントで大立ち回りしたな、懐かしい。
もう、一般入場口には人が並んでる。会場は10時なのに。俺達はサークル側なんで違う列へ向かう。
「おはよ、華。皆んなも今日は宜しく。」
「おはようございます!すいません、売り子なんてお願いして。」
「いいよ、他も見て廻って座ってれば良いんでしょ?」
「はい、それで良いです。写真とかは撮らせませんから。」
お、有難い。後ろで華から躾されてる蓮は見なかった事にしよう。
「会場10時なのに、なんでこんなに早いの~。」
ケンがブツクサ言ってる。
「サークルさんは、早いの。準備あるから。」
華が、躾を終えて答える。
「もう、昨日ちゃんと言ったよね。エロオーラ何とかしろって。昨日よりエロくなってどうすんのよ。今日、動画も流すのよ?」
そうだ。そのためにケンも参加側だった。
「動画は、任せて!僕、専門だから!」
いや、わかってるから。
正直、観客の反応が怖い。いくらメイクしても男だろ?腕なんか逞しいほうだぞ。・・・そう思いたいし。
「流すのは、12時だから、それまでに他のサークル見終わってね。」
そう言われて、列に並ぶ。座ってお握りやらパンを食べる。
蓮も同人誌読むんだったな。今回は蓮にBL買わせよう。恥をかけっ。
好きなサークルに行って本を買って、宅配にする。一通り見て廻ったし、売り子やりますか。華のサークルへ行く。
「座ってれば良いんだよね?」
「うん、私は動画の準備で離れるけど、蓮と一緒に居て。ウロウロしないでよ?」
はい、はい。う~ん、髪留めを忘れた。髪の毛がウザい。
座ってるだけなんだけど、お客さんが途切れない。サークルの人は手際よくさばいてる。なんか、遠目で写メ撮ってるけど、どうするかな?考えてたら、運営さんから注意されてる。ほう、安心だな。オッサン撮っても価値は無いぞ~。
全く無表情では居られなくてモデルやってたのを知ってる人、いわゆるファンの人も来て握手とかする。流石にサインはしない。
前方のステージに、スクリーンの設置が始まった。おい、聞いてたより大きいじゃないか。どっからでも見えるじゃん。見えない様に売り子してるのに、意味が無い。
「アレに流されるのかぁ。なんか複雑。」
隣に座ってる蓮も言う。
「激しく同意だ。あんなに大きいって、聞いてない。」
「でも、あれ最新だな。ただのプロジェクターじゃないから、綺麗に映るよ。」
そこが問題じゃない。自分の女装姿を晒すんだぞ。見るに耐えないよ。まさか娘からもメンタル削られるとは思わなかった。
「う~ん、やっぱあの規模なら、ケンが手伝って正解だったな。どうせ、晒させるなら綺麗に映して欲しいよね。」
いや、もうどうでもいい。見た人、直ぐに忘れて・・・あぁ、YouTubeにアップするって言ってたな。はぁ、暫くは落ち着かなさそうだ。
「パパ、もうすぐ流すから、ステージに来て。」
はい?ステージ?なんで!き、聞いてない!
「あらら、まさかのステージ紹介か。主演だから仕方ないか。」
笑いながら言うなっ!
サークル代表と華と俺がステージに上がる。一気に騒めく。俺がイベント参加と告知され、いつもより男性の比率が高いらしい。男性が騒めく。うー、能力出てる?エロオーラも?ステージ脇で殺気を放つ蓮。・・・遅い。お前らの所為だからな。半分は。
「次の動画は、◯◯大学の漫研と映研がプロと提携した本格的な◯◯をやってみた。動画です。」
そして、代表2人(華も含め)と俺の自己紹介。名前だけ言った。年齢言っても不自然だろう。もう40代後半だし。見た目とえらい違う。あぁ、いよいよ晒される。俺はイソイソとステージを降り、蓮を引っ張ってサークル席に戻る。
「え~俺前で観たかったのに。」
何度も観てんだろ!
「凛、こっから動くなよ。俺、前に行ってくる。」
はぁ、マジかよ。蓮が置いてったキャップを深く被る。
うわ~始まった。音楽が聞こえる。観衆は水を打ったように静かだ。わぁ怖い。男の胸の谷間なんて観ても楽しくないだろ。確かにマッチョじゃないよ。ガムテープで固定して作った生乳なんだけどさ。
1本目が終わり、拍手と黄色い声。いやね、1本目はさ、ジェニファーだろ?次が大変だったテイラーだ。CG使ったり、SMの女王みたいな格好したし、恥ずかしい。
何ですか?俺なんか悪い事した?まるで羞恥プレイじゃないか。
2本目も終わり、拍手の嵐。ん?思ったより評価良かったのかな?蓮が戻ってきた。
「いやぁ、良かったよ。前で観て正解。肌のきめ細かさまでわかった。」
「素晴らしいよ!早くYouTubeにアップして世界中に流したいね!」
著作権とか大丈夫なのか?
「法律的なのは、僕がやるよ。だからアップは、イタリアに帰ってからだね。」
痛い位の視線を感じながらひと足先に会場を後にする。やはり、まだ人混みは苦手だ。蓮の服の裾を握って歩く。それに気づいた蓮が、手を繋いだ。
「れ、蓮、繋ぐのは、ちょっと・・・」
「大丈夫。見られたらマズイ事ある?」
俺の不安が伝わってる。すまない、蓮。
「いいなぁ、僕も繋ぎたい。」
「お前は駄目。パートナーは俺だ。」
強めに言われ、ショボーンとしてしまった。日程の都合で、今日ケンはイタリアに帰る。会場で別れても良かったけど、もう当分会う事も無い。空港まで見送る。
「凛、大好きだよ、愛してる。」
「ケン、俺も好きだよ、だけど早く新しいパートナー見つけて。ずっと側に居てくれる良い人探して。」
ケンの瞳が大きく開き潤んできた。
「泣かないで。ケンが1人でイタリアにいる方が辛い。」
「じゃ、新しく愛せる人が出来るまで片想いしててもいい?」
涙声だ。
「うん、良いよ。」
ケンの唇にキスをした。愛おしい。俺だって手放したくない。だけど共に生きるのは蓮だ。深くキスをして名残惜しそうに離れる。
「凛、君は本当に美しい。見目麗しい。こんな人間見た事なかったよ。夢みたいな時間ありがとう。」
強く抱きしめて、搭乗口に行った。もう振り向かない。多分直接会うのはこれが最後だろう。
「泣かないで、逢いたかったら会いに行けば良い。」
「駄目だよ。ケンの人生にこれ以上関わったら。」
蓮の肩に顔を埋めて、涙が止まるのを待つ。
別れってこんなに辛かったっけ。
数日後、一通のメールが来た。ケンからだ。
『日本支社に配属されました。場所は東京だけど、イタリアより近いよ♪また逢ってね!』
コントかよ。あの涙を返せ。
蓮はムキーッてゴリラ化してる。
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