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第37話
桜の季節だ。この辺りは、桜並木と銀杏並木だから、春も秋も楽しめる。隣の公園じゃブルーシート敷いて花見やってる。
1人ってこんなに暇だったかなぁ。華はサークルの合宿で1週間居ない。蓮は先週から1カ月の予定で、大阪に出張。天気が良い日は、1人で桜並木を満喫しながら散歩してる。
「いい?健太以外の男を家にあげるなよ?分かった?」
蓮の言伝。華からも
「夜、外出駄目よ?出る時はタクシーよ?いいね?」
どんだけ、心配されてるんだ俺。
夕暮れ、チャイムが鳴った。珍しい、客?華が居ないから健太は来ない。彼は来る前にちゃんと連絡をくれる。モニターを覗くと見知った顔。ケンだ。
「どした?いきなり。」
〔いれてぇ~、荷物重い。〕
蓮から忠告は、あったけどケンは友人だ。良いだろう。
「どうした?連絡もしないでイキナリ来るなんて。」
「これ、華にあげようと思って。」
どうやら、パソコンの機材らしい。
「送ればいいのに。わざわざ東京から持って来なくても。」
「まぁまぁ、配達頼んだら、精密機器だし壊れたら勿体ない。」
確かに高価そうな機器。
「いいの?華にやって。」
「うん、これ、僕のだし新しいの買って不要になったから。なんせ、華は大切な人の娘だからね。才能もあるし。」
そうだ、まだ諦めてない。愛してるって言ってたな。ちょっと安易に家に入れたのマズかったかな?
「今日はどうするの?」
「ホテル取ってない。また、ソファーで良いから泊めてくれると有難いんだけど。」
泊まるつもりか。う~ん、今更ホテル行けって言い難い。
「蓮と華は?」
「華は今日からサークルの合宿で居ない。蓮も先週から1カ月の予定で大阪。」
「ふーん。居ないのか。」
丁度、夕食時だったから2人で食べる。
「流石、九州。暑いくらいだね。」
「確かに、今日は暑かったな。」
散歩してたら、暑くて帰宅したら汗だくでシャワーだった。髪もアップにして半袖短パン。
「夏の格好だね。似合ってる。」
そう?2人っきりて、カミーノ以来か。あの時は番犬みたいで楽しかった。懐かしい思い出話をワイン片手に語り合った。
食器を片付けて、テーブルを拭いていた。
ガタガタッとケンが椅子を退けて俺に抱きついた。
「凛、凛。僕、凛に逢いたかった。パソコンなんてオマケだ。本当は、凛に逢いに来た。」
やっぱ、そうか。デカイ体を屈めて必死に抱き着く。ヨシヨシと背中をポンポンと叩いて、落ち着かせる。
「落ち着け、俺はここに居るから。今日はゆっくり休んで?」
「違う!僕が欲しいのは、凛だよ、ヨシヨシじゃない。」
「駄目。あの関係は終わったんだ。今は友達。良いね?」
ケンは、普段は優しい。嫌がる事はしない。だから俺も甘く考えてた。
乱暴に短パンと下着に手をかける。
「止めろ、ケン。俺が本気で暴れたらケン、怪我じゃ済まない。」
「じゃ、本気で抵抗してよ。怪我したら諦める。」
そんな事、出来る訳ない。
「頼むから、止めてくれ。嫌いになりたくない。華も懐いてる。関係壊したくない。」
「止めない。凛が欲しい。」
ケンの瞳を見つめ、止めるようになだめる。涙を浮かべて、愛してると言い続けるケン。
ふいに顎を掴まれ、唇にキス。駄目だ。止めないと、身体の関係は蓮だけだ。強めに抵抗した。体格の良いケンが少しフラついた。逃げ出そうと身をかわしたが、捕まってダイニングテーブルに押し倒された。
「止めて。お願い、蓮以外に抱かれたくない。」
深いブルーの瞳から、ポロポロと涙が溢れる。
「じゃ、なんで受け入れたりしたの?なんで中途半端に受け入れたの?辛くなるだけなのに。」
蓮も許し、ケンの恋心にほだされ、身体を許した。余計に俺に対する気持ちは強くなっただけか。
「何が欲しい?例え、今SEXしても俺は蓮のパートナーだ。身体だけ欲しいのか?」
「心も欲しい。全て欲しい。当たり前だろ?」
泣きながら訴える。抱きしめながらずっと愛してると言い続けるケン。一度は愛おしいとさえ想い、別れに涙した相手だ。本気で暴れられる訳が無かった。
ごめん、蓮。俺、駄目だ。
下着ごと、下ろされケンの愛撫を受け入れる。口で俺を含み、丁寧に舐める。ここ暫く、蓮ともして無かったから、アッと言う間に熱く硬く勃ち上がった。ケンが俺の手を自分の昂りに誘導する。蓮よりデカい。俺が手を上下すると潤んだ瞳で俺を見つめ、ウットリとしてる。ケンも俺の熱いモノを扱く。
「ハァッ、んっ、ふぅっ。」
互いのモノを擦り合い、快感を追う。先走りで濡れてきたモノがヌチャッヌチャッと音を立てる。グリグリッと先端を撫でられ
「アァッ!クゥッ、ンンッ、い、良いっ!」
身体が丸まる。もう出そうだ。
「ケ、ケンッ、出る、もう、出るッ!」
あと少しの所で昂りの根元をギュッと握られ
「?い、イかせて?出したいっ!」
「駄目、凛は後ろでイクのが好きでしょ?」
駄目だ、挿入は駄目。抜き合いなら何とか言い訳出来る。だけど、本番やったら蓮を裏切ってしまう。
「だ、駄目、入れないでッ!後ろは使いたくないっ!」
ケンは俺の言葉を無視して、濡らした指を蕾に入れてきた。
「あぁっ!だ、駄目!お願いだから、止めてっ!」
ケンは指で中を掻き回しながら、舌で昂りや蕾を舌でなぞる。口では、止めろと言いながら、身体は次のステップを待ってるのが分かる。脚が自然に開いていく。身体は突き上げて欲しがって快感に素直に反応をしてる。
「だ、駄目なのに・・・」
涙が浮かんで来た。自分でも嫌になる位淫らな身体になってしまった。指が増え、前立腺をコリコリっと押す。
「んああっ!あぁんぅっ!ダ、ダメェッ!」
指のスライドに合わせて腰が揺れる。テーブルの端を握り、ケンの指を喜んで咥え込んでる。久々の快感、欲しかった場所への刺激にもう抵抗出来なかった。
「もう、解れたかな?入れるよ、凛。」
唾液で濡らしたケンの熱い楔が、双丘を押し開き、蕾に届く。
「ダ、ダメッ、ダメだよぉっ!」
手は空をかき、ケンが俺の手を自分の肩へ乗せた。脚を抱え、蕾を開いて挿入してきた。
「んあっ!熱いっ!ケ、ケン!ダメ、ダメェ!」
何とか言葉では駄目だと言ってるが身体は真逆の言葉を発している。まだ全部入りきる前に、前から白濁した液を放ってしまった。
「痛くないよね?蓮より大きいけど、全部いれるよ?」
脚が震える。ゴリゴリと内壁を圧迫しながら奥へ侵入してくる。
「ん、はっ!お、大きいっ!ケンッ熱いっ!」
まだ、挿入されただけなのにビクビクッと身体が揺れる。グイッと根元まで入れられた。いつもは届かない最奥まで。
「グヴッ!ふ、深いっ!お腹の中っ、ケンで一杯だっ!」
「まだ動いてないよ?挿れただけで気持ちいい?」
気持ちいいって言っちゃ駄目だ。頭を横に降る。
「前から出てるのに気持ち良くない?じゃ、もっと気持ち良くしてあげる。」
胸の突起をコリッと摘みながらスライドを始めた。
「んっ、クゥッ!胸、や、止めてっ!」
「本当に?止めて良いの?硬く勃ってるよ。」
腰を緩めず、胸にも愛撫を始めた。駄目だ、もう身体はケンを求めてる。
「胸と一緒に、コレも抜く?」
グイッと中を昂りで抉る。
「イ、イヤッ!や、止めないで・・・っ」
素直が1番だよ、と激しくピストンを続ける。
「あぁんぅっ!い、良いっ!奥まで届いてるっ!」
気持ち良さと蓮への想いで涙が溢れて来た。
「良いっ!ああっ!気持ち良いっ!」
両腕をケンに回し、熱く大きなモノを抜き差しされる。腰がテーブルから浮く。身長が高いケンは、軽々と脚を抱えて腰の反動を使い、俺を貫く。内壁の奥の奥までケンが届く。
「ヒィィッ!ウワァッ!んグゥッ!」
奥に届く度、前からピュルッと潮を吹く。
「んああっ!く、来るぅっ!」
せり上がってくる快感。ナカイキしちゃう。
「ハ、ハァッ!ナ、ナカイキしちゃうっ!ダ、ダメェ!」
ガクガクッと痙攣が走る。目が虚ろになってきた。視界も白んでくる。ケンにしがみ付き、ヒィヒィ言いながらオーガズムに達した。でもまだケンは離してくれない。俺がナカイキが好きな事を知ってるからだ。
「ほらっ!まだ僕イってないよっ!凛、僕がイクまで、イキ続けてっ!」
「ハァッハァッ!ヒィッ!ンアアッ!」
2度目のオーガズム。ケンがイクまで続く。
「凄いっ!凛の中、ギュウギュウに絞めて来るっ!」
ケンも余裕無く突き上げる。
「ダ、ダメェッ、も、漏れちゃうっ!」
「良いよ、漏らして?」
揺さぶられイキながら、タラタラとケンの腹を濡らし、脚を伝い床まで濡らす。何度目かのナカイキがきて、もう身体に力が入らない。頭はもう蕩けて喘ぐ声も弱くなる。テーブルに寝かされ、ケンがテーブルと俺の身体を掴み、激しく突き上げる。
「ヒィ、ハァッ、ううんっ、良いっ、良いよぅ!」
掠れた声でケンに応える。もうずっと挿れてて欲しい、抜かないでおかしくなるまで、突き上げて。
「あぁ、ゔゔっ、ケ、ケン・・・」
もう声も出なくなってきた。身体は引付けの様に、立て続けに痙攣している。焦点が合わない。視線が空を彷徨う。ガツンッと強く突き上げられた瞬間、全身が突っ張り、今まで経験した事がないオーガズムを感じた。足の指まで伸びきり、顎も上がり、息も絶え絶え。掠れた声で
「お、おかしくなるっ!もう無理ッ!」
遠のく意識で腹の中に熱い液体を放たれるのを感じた。
ソファーの背を倒し、ベッドにした所にそっと降ろされる。身体はまだビクビクッとイキ続けてる。
「ハァッ、ハァッ・・・」
ナカイキが落ち着くまで、ケンは側で優しく髪を撫でている。脚を閉じて痙攣を止めようとするけど、止まらない。ケンが脚の間に手を入れてきた。
「ハァッ、な、何?」
指で蕾をクチュクチュと掻き回し始めた。
「ダ、ダメッ!ああっ!」
指だけでまたイってしまった。カクンッと脱力して意識を失った。
目が覚めたら、朝だった。俺は服を替えて自室のベッドで寝ていた。何とか身体を起こし、リビングへ。ソファーでケンが眠ってる。まだ、6時前か。部屋に戻り、携帯を握る。
蓮に告白しなきゃ駄目だ。バレるまで秘密なんて出来ない。早いけど、電話をかけた。
「もしもし?早いのにごめん。」
声が掠れてる。感が良い蓮は多分察するかもしれない。
〔・・・ん、おはよ。どうした?声、おかしいよ?〕
「蓮、蓮。御免なさい。俺、許してもらえないよね。」
涙が溢れて来た。
〔何が?何かあったのか?〕
「昨夜、ケンが家に来た。パソコン機材持って。だから、家にいれたんだ・・・。」
〔ケンが来たの?!連絡も無しに?〕
「うん、でも全部俺が悪いから。御免なさい、もう駄目かな・・・」
〔何があったの?言わないと分からない。〕
「ケンに、ケンに抱かれた。本当はディウォーカーだから抵抗出来た筈なのにしなかった。言葉だけで、逃げなかった。俺、俺が悪いの。」
最後は泣きじゃくっていた。後悔の念で押し潰されそうで。
〔ケンと代われ。凛の事は後で話す。〕
ケンは、俺が電話してる声で起きていた。
「蓮が、代われって。」
目を擦りながら、携帯をケンに渡す。会話は英語だ。よく分からないが、蓮が罵声を上げている。ケンは全てを受け入れるかの様に、返事をするくらいだ。ケンが携帯を返して来た。両手で顔を覆ってる。
「もしもし、俺だよ。」
〔取り敢えず、言いたい事は言ったから。ケンの気持ちも分かってるし、今回は2人とも悪い。いいね?〕
「うん、御免なさい。・・・許してくれる?」
〔許すも何も、大好きな相手を目の前にしたら、俺も理性なんて吹っ飛ぶわ。〕
「蓮・・・逢いたい。寂しいっ」
また、涙が溢れて来た。
〔大阪、来るか?ホテル教えるからいつでもおいで。〕
「蓮、許してくれるの?逢いに行っていいの?」
〔最初から許してるよ。自分から話してくれたから。秘密にされてたら、どうか分からかったけどな。2人とも、俺にとって大事な存在だから。〕
電話を切って、リビングでケンと話さなきゃいけない。
「蓮が許してくれた。もうこんな事駄目だよ。」
「僕も許してくれた。次からは一対一は、駄目だって。」
ん?そう言う問題か?
「あんな事したのに、朝ご飯まで有難う。」
蓮は、2人とも大事な存在だと言ってくれた。もう裏切るような事しちゃ駄目だ。
「車で空港まで送るよ。」
別れ際に、強くハグして来た。
「蓮が、片想いしてて良いって。凛は?駄目?」
人を好きだと想う事を駄目だなんて言えなかった。返事の代わりに腕に力を入れて抱きしめた。
華に大阪行きを連絡した。
『やっぱりね。いってらっしゃい。お土産よろ!』
スーツケースとノーパソ持って大阪に向かう。初めての土地と都会。多少緊張するけど蓮に逢える。それだけで良いんだ。蓮に早く逢いたい。
まさか、久々にガブリエルに再会するとは思わなかった。
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