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第38話
関空から、大阪市内までは何とか来れた。しかし、既に迷子。教えられたホテルを携帯でナビしながら歩こうと思っていたら甘かった。人が多くて、スマホみながら歩けない。油断すれば、ナンパされるし。身体のラインが出ない様にゆったりした服装だから、余計に女性と間違われる。それに金髪のまんま。しまったなぁ、人間の格好ならまだ目立たなかった。
(まぁ、まだ昼前だしホテル行っても蓮居ないから街ブラするか。)
荷物をコインロッカーに入れ、現在地をメモ。荷物とはぐれたら面倒だし。
ナンパも適当にあしらって、街をブラブラ。
(おぉ!パンケーキの店じゃん!入ろっ)
注文して待っていると、携帯が鳴った。
「はい、もしもし?あ、蓮。大阪着いたよ。」
〔今、どこ?〕
「分かんない。暇だから、街ブラしてパンケーキ食べる。」
〔分かんないって、どうやってホテルまで来るんだよ?〕
「タクシーに乗るよ。ナビ見ながら歩くより早い。」
〔あぁ、なるほど。分かった。じゃナンパに気をつけて楽しんで。〕
「了解。またね。」
確かにナンパ、多過ぎます。オッサンに集るハエの如く寄って来るわ、寄って来るわ。
我慢の糸もキレて。
「ウゼーんだよ、ブサイク!」
我ながら口悪い。
有名な三角公園に着いた、マグレで。
暑くなったので、上着を脱ぎ腰に巻いてしゃがみ込んで、ソフトクリームをペロペロ。ウンマ。
「ねぇ、お兄さん、1人?」
また、ナンパか。男って分かってて声をかけて来るから始末が悪い。
「複数に見えるなら、眼科に行った方が良いな。」
「酷いなぁ、暇だから遊ぼうって声かけただけじゃん。」
ん?訛りが無い。地元民じゃないのか。
「ふ~ん、訛り無いけど大阪の人じゃないの?」
「うん、違う。九州出身。」
あら。同郷じゃないか。
「こっち、長いの?」
「先週、引っ越して来たばっか。仕事で来たから知り合いも居なくて。お兄さん、あんまり綺麗だったから思わず声かけちゃった。」
笑顔が幼い。かなり若そうだな。自分も九州からだと話し、出身地の話しで盛り上がった。
(何だ、良い奴じゃん。)
「そうだ、名前は?俺は凛。」
「俺は、宏。ヒロでいいよ。LINE交換しない?」
「うん、良いよ。」
スマホを振ってLINE交換。イマイチ使い方が分からないので教えて貰う。
「なんかさ、見た目スゲ~美人で綺麗なのに中身オッサンぽくて、面白い!」
だって、オッサンだもの。仕方ない。
「あ、モデルやってるって、画像無いの?」
「何枚か入ってるよ。」
「見たい!」
おお~と感心しながら観ている。
「あれ、コレ雑誌で見たよ。」
そうなの。確かに雑誌しか載らないんだけど。
「えらく楽しそうですな。」
見上げると、蓮が居た。
「オワッ!ビックリしたぁ、何だよ。どうやって来たの?」
「GPS。誰、隣の人?」
「ヒロって言って、九州出身だから話し盛り上がっちゃって。」
「ふーん。お友達が出来たんだ。」
何か不機嫌だ。早々にヒロと別れて、蓮と歩く。
「何か怒ってない?気配がピリピリしてる。」
「・・・あのさ、言いたく無いけど、ケンの事済んだばかりでさ、見知らぬ男と、楽しそうにしてたら流石にイラッとくるわな。」
「・・・ごめん。これから声掛けられても相手しないから。御免なさい。」
「別に、そこまで束縛はしないけどさ。ホイホイ付いて行かなきゃ良いよ。」
やっぱ、まだ不機嫌。そっと後ろから手を繋いだ。恥ずかしいけど繋ぎたかった。蓮はビックリして俺を見る。
「珍し、顔紅いけど大丈夫?」
「うん、繋ぎたいから。大丈夫。」
真昼間に、男2人で手を繋いで歩く。視線が気になったけど、別に誰も見てない。ギュウッと握って寄り添う様に歩く。
「なんか、めっちゃ可愛いんだけど。」
蓮が笑う。良かった、嫌がってない。俺も笑顔で返す。やっぱり蓮が好きだ。パートナーは蓮。トトッと建物の影に押された。
「ごめん、ホテルまで我慢出来ない。今日、可愛い過ぎ。」
顔を両手で包まれ唇にキス。ビックリしたけど俺も蓮の腰に手を回して受け止める。舌を入れて来た。本格的なキスだ。
「んっ、んん!」
流石にこの人混みじゃマズイだろう。蓮の唇に手を当て、
「続きは夜だよ?今は駄目。」
「え?夜良いの?」
また紅くなって頷く。ギュウッとハグして影から出る。蓮はTシャツをズボンから出して、前を隠してる。勃起しながら歩くのはちょっとね。
コインロッカーに寄り荷物持って蓮の滞在型のホテルへ。あれ、近いじゃん。タクシー要らなかった。
「・・・・うわ~。」
男の独り住まいの様相。ハンガーに掛かってるのは、スーツだけ。洗濯物は山積み。
「自分で洗濯するの?」
「うん、面倒だけどな。凛の有り難みを日々感じてました。」
家じゃ、家事全般、俺がやってる。稼げないからね。モデルも不定期だし、トレーダーでもそんなに収益出してる訳じゃないし。
「食事は?キッチンあるけど。」
カップラーメンのゴミの山。さて、片付けますか。
一通り済ますともう夕方だ。冷蔵庫には酒とジュースとツマミしかない。
「何か食べたいのある?」
「か、蟹道楽行きたい!」
テレビの見過ぎだな。と笑いながら道頓堀へ。
おおっ!蟹が丸ごと来た!スゲ~ッ!
「丸々は初めて?」
「うん、初めて。どうやるの?」
蓮に、蟹を解体して貰って食べる。
「甘い!美味しいっ!」
「連れて来た甲斐があるよ、そこまで喜ばれたら。」
ニコニコしながら、眺めてる。俺は夢中に蟹を食べる。
「ん、蓮は食べないの?」
「あんまり得意じゃなくてね、他の食べるから大丈夫。」
酒と刺身に揚げ物。悪かったなぁ、付き合わせちゃった。
「うーん、食べ過ぎたかも。苦しい。」
蓮がクスクス笑う。
「もう、途中から無言で食べてたもんな。酒もかなり飲んだろ?」
「うん、日本酒の甘口って飲みやすいんだね、知らなかった。」
普段、肌が白い俺が全身薄いけど紅くなってる。
「凄く艶っぽいよ。凛。」
不意に唇にキス。眼も酔ってトロンとしてる。
「先にシャワー借りるね?」
脱衣所が無いから部屋の隅で、服を脱ぐ。
「そんなに見られたら脱げない。」
ジィーと蓮が見てる。付き合い長いけど恥ずかしい。
酒も入り満腹、大阪初日で街ブラして疲れてた俺は蓮がシャワーを浴びてる間に眠ってしまった。
目が覚めたら朝だった。テーブルの上に書き置き。
『夜の約束、反故にされたからな。今夜は酒飲むなよ。』
あ~、そうか、約束してたな。なんか夜怖いんだけど。
今日は何しようかな。掃除と洗濯したら、何もする事が無い。そうだな、久々に教会行ってみるか。近くのカトリック教会を探す。お、近いな。行ってみよ。
「やっぱ、デカイわ~。」
いつも行ってた教会と規模が違う。中に入ると赤いランプと聖櫃。ホゥっとする。カミーノでも、疲れたり不安になると聖櫃の前に居た。
「ご無沙汰だな。凛。」
ガブリエル!
「ご無沙汰も何も、ナイトウォーカーの情報位、寄越せ。華と2人で大変だったんだぞ。」
「あの人数なら、2人で充分だろう。今日は何故、大阪まで来たんだ?」
分かってる癖に聞いてくる。
「あぁ、そうか。不貞をしたから謝罪しに来たのか。」
クソッ、知ってるならきくな。
「あのケンと言う男もかなり凛に夢中だな。」
「どうにか、諦めさせたいんだけど。何か出来ないの?連絡係しか無理か?」
「ここに居たのか。」
振り向いたら、蓮が居た。
「誰を諦めさせるんだ?」
「ケンと言う男だ。蓮の友人だろう?君から言ってみたらどうだ?」
「あぁ、ケンか。難しいな、もう頭ん中、凛で一杯だからな。」
「無理なのかなぁ。また会うのが怖いよ。」
「で、ガブリエルは何の用だ?」
そうだ、用件も無く現れない。
「そのケンと言う男についてだ。彼はディウォーカーだ。普段は人間の姿をしてるがな。本人も知らない。」
「はぁ?何だよ。それ?」
「人間から産まれたが、産まれてすぐ両親の悪魔信仰に寄って、ナイトウォーカーにしようとしたが、偶然ディウォーカーになったんだ。」
偶然って、俺と一緒か。
「本人に知らせる役目は私だ。時が満ちれば知らせに行く。凛に強く惹かれるのは、生い立ちにもよるんだろう。」
「じゃ、何、俺は凛をケンと2人で共有しなきゃいけないのか?」
「それは、君らの問題だ。私が言えるのは、ケンは凛を諦めないだろう。それだけだ。」
そう言い残して、フッと消えた。
「共有って、あんまり嬉しくない。」
「ごめん、思いつかなかった。はぁ、諦めないかぁ。参ったな。」
多分、ディウォーカーである以上、これからも会ったりするだろう。ああいう行為は、もうしたくない。無理矢理は嫌だ。最後は受け入れちゃったけども。
「今日は、もう仕事無いから散歩がてらに帰ろうか?」
毎回外食じゃ、勿体ない。軽く食材を買って自炊しよう。部屋に帰ると、2人っきり。誰も居ないし来ないから、ピッタリとくっついても、怒られない。
「出張長い時は、今度からついて来る?」
「ついて来ていいの?いいなら来る!」
なんか新婚さんみたいだ。寄り添って寛ぐ。
蓮が俺の首筋に唇を這わす。
「跡つけちゃダメだからね。」
「分かってる。肌が白いから目立っちゃうからな。」
耳を甘噛みされ、ゾクッと快感が背筋を走る。手を上衣の中にいれ、胸を掌で捏ねる。気持ちいい。太腿がピクンッと反応する。唇を合わせ、舌を絡める。蓮の味だ、舌を吸う。蓮の唾液すら勿体無い。蓮に被さるように上になり、唾液を啜る。蓮の舌が上顎をなぞる。
「んんっ、はぁ。」
もう2人の唾液が混じり、どちらか分からないものが顎を伝い顔や首を濡らす。蓮の膝を跨ぎ、脚の上に座る。蓮の髪に指を通しながら唇を味わう。部屋着に着替えて、布も薄く2人の昂りが擦れ合う。腰を2人して動かしながら唇を離さない。蓮が指を舐め濡らしてる。俺は跨ったまま、下着とズボンを脱いだ。蓮が前から手を入れ、蕾へ指を這わす。入れやすい様に腰を丸め、脚を開く。
「ケンの感覚を俺が上書きするから。」
「うん、して。して欲しい。」
ヌチャッヌチャッと指を出し入れする。体内にある指はまるで意識がある生き物の様に蠢く。
「ね、自分でも入れてみて?」
既に蓮の指が3本入ってる。ソロリと指を蕾に当てがい、息を吐きながら自分の中指を入れる。
「んんっ、あうんっ!」
「キツイ?それとも感じる?」
「ちょっとキツイけど、大丈夫っ。んっ、バラバラに動いてて、気持ちいいっ。」
膝を大きく開き、蓮の指と自分の指で慰める。
「そ、そこのコリコリ、気持ちいい!」
「これ、前立腺?こうすると気持ちいいんだ。」
前立腺を中心に内壁を動き回る。
「うんっ、良いっ!」
蓮に蕾が見えるくらい腰を突き出して喘ぐ。
「凄いや、指が出入りするのが良く見えるよ。いやらしいね。紅く捲れてる。」
グリグリと掻き回したり、ピストンさせたり念入りに蕾を愛撫する。
「フフッ、前から垂れて来たよ。出入りしてるトコまで流れてきた。愛液みたい。クチュクチュ言ってる。」
「んんっ、だって気持ちいいもんっ!」
自分の指も2本に増やし、早くピストンする。5本も咥えて喜んでる身体。上衣を捲り上げ、舌で胸の紅い突起をチロチロと弾く。
「あぁんっ!くぅぅ、良いっ良いよっ蓮っ!」
膝が震え出す。クッと下腹に力を入れたら、前から白濁した液が勢い良く出て2人の腹を汚した。まだ指を抜かない蓮。蓮の昂りが欲しい。手を伸ばし、触れる。蓮が胸から顔を上げ、
「欲しいモノはちゃんと言わなきゃわからないよ?」
言わせたいんだろ?ケンが俺に夢中な様に、俺は蓮に夢中だ。
「蓮の、蓮の熱いペニスが欲しいっ。」
蓮のズボンから、熱い昂りを引っ張りだし、唾液を垂らす。それを俺の髪をかき上げながら眺めてる。たっぷり濡らすと蓮と自分の指を引き抜き昂りの上に双丘を下ろす。体重で、熱いモノが蕾を押し拡げ挿さってくる。
「ンアアッ!んっ、良いっ!ね、ねぇ、蓮っ!」
「何?」
「俺の中、蓮の形にしてっ!」
蓮が動く前にもう自分で腰を上下に動かし、蓮を出し入れしてる。
「聞こえる?下の口がグチュグチュ言ってるよ。喜んでるのかな?」
「う、うんっ、喜んでるっ!」
両手で双丘を開くように鷲掴みして下から突き上げてきた。
「ああっ!良いっ!んんっ、ハァッ!」
ガクガクと揺らされながら、自分で胸を弄る。
「んっ、ゔゔっ、ハァ・・・蓮っ!」
「あぁ、久し振りに蓮の腹の中だ。よく絞まるっ!」
両手を蓮に回し、蕾に集中する。抜き差しする度に入り口が捲れ擦れて気持ちいい。蓮が指で挿入してる蕾の縁をなぞる。
「あんっ!んんっ、蓮で一杯になってるっ!」
蓮の瞳を見つめる。涙で潤んで霞む。
ズルっと熱いモノを引き抜き、俺を床に四つ這いにさせる。脚を開き、蓮に蕾を見せつける。
「今日は、上の口も下の口も素直で良いね。パクパクして、紅くて美味しそうだ。」
そういうと、先端から根元まで一気に貫いた。
「ヒィィッ!うぁっ!ングゥッ!」
膝が太腿が震え出す。強い快感に身体が最高潮に向かって走り出す。ズンッズンッと腹の底に響く突き上げに、両手を突っ張り堪える。
「凛の中、俺の形に変えてやるっ!」
「ハァッ、ヴヴッ!クゥッ!」
頭を振り乱し、押し寄せる快感に身体を晒す。今日の蓮の突き上げはいつもと違い、大きなストロークで、ガツンッガツンッと貫いてくる。
「あぁっ!ヒィッ!く、来るっ!」
前からは透明な液体を吹き上げて、最初のオーガズムを待つ。
「イキそう?ナカイキ始まりそう?」
ガクガクと頭を振り、返事をする。さらに脚をめい一杯拡げ、蓮のモノが挿れやすいように腰を上げる。
「んぐぅっ!くうっ!ひぃっ!」
最奥まで蓮が届く。ギュゥゥと蓮のモノを絞り上げ、内壁がヒクつき始めた。身体が揺れる。湧き上がる、漏らしたい感覚。迫り上がるオーガズム。ビクビクッと強い痙攣と共に前からはだらし無く漏らしてしまう。
「ハァッ、ヒィィッ!ま、またクル!」
余りに強い突き上げで、オーガズムの間隔が狭い。もう、手も付けず肘で上半身を支えて、猥らに腰だけ突き出し蓮のペニスを受け入れる。
「グヴッ!ハァァッ!ンンッ!」
立て続けに3度もナカイキする。でもまだ満足しない。
「ナカイキ始まると絞まりが強くなるから、結構キツイなっ!」
「ヒッ、れ、蓮っ!抜かないでぇっ!」
達してるのに、ガンガンと突かれる気持ち良さは言葉に出来ない。ただ涙が溢れ悲鳴みたいに喘ぐ事しか出来ない。その声も掠れ、嗚咽するように泣きながら楔を受け止める頃には、視界はかすみ、目は虚ろになる。意識もはっきりしない。
「んっ、もう出そうっ!出すよ!」
蓮の声が少し遠くに聞こえる。ガクガクと痙攣が続く腹の中に熱い精液を吐き出した。
蓮が抜こうと腰を引くと痙攣しながらソレを追う。
「・・・・ぬ、抜かないで・・」
弱々しい声で蓮を引き止める。震えながら腰を蓮に押し付ける。薄れていく意識の中でさえ、蓮を欲しがる。達して萎えた筈の蓮が再び熱く堅くなってきた。
「いつからこんなに淫乱になったの?」
「・・・れ、蓮が俺の身体、変えたの・・」
フッと笑うと再びピストンを始めた。
「・・・・ヒィッ・・んんっ!」
声もう出ない。蓮は2ラウンド目だけど俺は1回目のオーガズムからイキっぱなし。顔は、涙と涎でグシャグシャだ。目線が空を彷徨う。僅かに残る意識は全部、腹の中にある蓮に向ける。タラタラッと体液を漏らしながらイキ続ける。身体はこれ以上、反れない位に仰け反り突き上げに喜びの涙を流す。
「・・・ふぅっんっ!ううっ、くぅ!」
気持ち良すぎて、痙攣が辛い。多分、俺の腹の中は、蓮の形になってる。
「ハァ、ハァ、全然緩まないっ!キツッ。」
蓮も2回目だけど、内壁の絞まりが良くて喘いでいる。蓮がバックから突き上げ、俺は掠れた声を上げる。
「ダメだ、また出るっ!」
蓮が背後から俺の両手を掴み引き上げる。深く蓮のモノが挿さる。
「ヒィッ!ゔわぁっ!」
最後が近い。全体重が蓮のモノにかかり、身体が激しく揺さぶられる。
「ああっ!・・・も、もう・・・ダ、ダメェ!」
「んっ、俺も出すよっ!くぅっ!」
蓮の身体が揺れ腹の中に2度目の中出しをした。深く蓮が突き刺さったまま、止めどなく漏らしながら意識を飛ばした。
「・・・凛?・・凛?大丈夫?」
どうやら意識を飛ばした後もずっと泣いていたらしい。
「お、俺、蓮が好き。ケンは嫌いじゃないけど、蓮と同じじゃないからっ・・・」
しゃくりあげながら、蓮の胸で泣く。
「分かってる。大丈夫。ケンも良い奴だ。嫌いになる必要はないよ。」
蓮の寝間着が濡れてしまう位、泣いてしまった。優しく髪を撫でられ、蓮の大好きな香りの中で眠りに就いた。
翌日は、蓮も休み。昼過ぎまで寝てしまった。
「・・・お腹ずいだ・・」
完璧に声、死んでる。蓮は笑いながら
「簡単な物なら作れるから、待ってて。にしても、凄い声だな。」
笑ってる。確かに別人だ。
ガタガタン!
「な、何?どうした!?」
床に突っ伏してる俺。立てない所か、まともに座れなかった。
「いだい・・・」
顔面を打って半べそ。笑いを堪えながら、ソファーに座らせて貰った。
「今回は、俺だけの所為じゃ無いからな。」
肩が揺れてる。そこまで笑う?出されたジュースを一気に飲む。
「あーあー、声戻った?」
「ん~まだ掠れてるな。さっきよりマシだけど。」
そう?会話しながら、昼飯を食べる。
「昨日さ、来る途中にスーパー銭湯あったの見つけたけど夕方行きたいなぁ。マッサージとかあるでしょ。」
「公衆浴場に入るというのかぁ!」
グリグリとこめかみをグーでやられた。
「1人じゃないから、いいじゃん!行こうよ!」
「まぁ、俺もたまに行ってるから良いよ。」
なんだよ、今のグリグリ!痛み損じゃん。
「あ、忘れてた。お土産のUSB、ほい。」
「お土産は普通、初日だな。」
モデルのデータを見るのが恒例行事。
「1枚目は、分かるよ。綺麗だ。化粧品の広告だろ?これ2枚目なんだよ。なんで全裸?」
「全裸じゃないよ、肌色のパンツ履いてるし、布巻いてる。香水の広告。」
無表情で見てる。ちょっと怖い。
裸じゃないから良いじゃん。と言ったら
「そういう風に見えるなら、裸も同じだっ!」
まぁ確かにそうだけど。
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