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第39話
「薔薇の写真、結構好きなんだけどなぁ。」
スーパー銭湯に歩いて向かう。
「完璧にカメラマンとディレクターの趣味だな。」
多分、そう思う。
「おお、デカイね。銭湯なんて久々だ♪」
元々、銭湯や温泉は華と2人でよく行っていた。蓮と付き合いだしてから、自主規制してる。能力もあるし。
「あんまり、離れるなよ?」
「うん、分かった。」
脱衣所で、パッパッと脱ぐ。
「前を隠せ。タオル巻いて。」
うーむ。小言が多いなぁ。肩にタオルをかけて、先に浴場に行く。
「ま、待てって!」
「人少ないよ。先に洗う。」
まるで保護者みたいについて回る。
「なぁ、頼むから膝にタオル掛けてくんない?」
「誰もみないよ。気にし過ぎ。」
ワッシャワッシャと頭を洗う。
「妙な所で、男らしいんだよなぁ。」
ブツブツ言ってる。男だもん。男らしくて良いじゃないか。洗い終わり
「もう、先に浸かってくる。」
文句ばかり言ってるから遅い。
「うーん、気持ちいい♡」
やっぱ、広い湯船はいいな。家の近所にもスーパー銭湯あったけど潰れちゃったし。頭にタオルを乗せ、泳いじゃ駄目だけど、スィーッとジャグジーまで移動。
「凛っ!ケツだけ浮いて出てるから止めてください。」
誰もみやしないのに。いや、見られてるか。チラチラ視線を感じる。
「ロッカーの鍵かして?ゴム忘れた。」
長い髪はアップするのがマナーだ。
濡れた髪をクルッと纏めてロッカーのゴムで留める。
「絶対、1人で銭湯とか駄目だからな。」
リラックスに来たのに注意ばかりだ。
「蓮、小言もわかるけど折角来たんだから寛ごうよ。」
「上がったら、マッサージ?アイス?」
両方!笑顔になった。楽しまなきゃ勿体無い。入場料大人2000円もするんだから。
元来、長湯だから逆上せないように腰湯に浸かる。
「・・・まだ入ってんの?」
蓮は湯船の淵に腰掛けてる。
「うん。温めだし、気持ちいい。」
「肌がさぁ、紅らんでエロいんだが。」
小声で言ってきた。肌が白いから、紅みをさすとうっすらピンク色になる。
「え~まだ上がりたくない。」
分かったよ、と座ってボーっとしてる。
「ん?露天もあるじゃん。露天行こっ。」
えぇ~と言いながら付いてくる。暖かい季節だから、露天は結構人が多い。俺が湯船に入ろうとすると、ササッと人が避ける。同じ年位のオッサンや、ジィさん達だ。
「蓮、入らないの?」
「うん、逆上せたから涼む。」
「綺麗な肌をしとるのう。オナゴが入ってきたと思ったわ。」
ジィさんが言ってきた。
「若く見られるから、損はしませんねぇ。」
確かに腕毛も、脛毛も最初から無い。モデルやってるから、脇毛も無いけど。会話を楽しんでると
「もう、上がるぞ。」
待ちくたびれたのか、蓮が促す。
「ん~、わかった。先に失礼します。」
「おい、凛、起きろ。」
マッサージの最中に寝てしまった。昨夜の疲れが出たらしい。
「腰付近が疲労してますね。痛めない様にストレッチして下さい。」
「・・・はい、分かりました。」
なんで腰が疲れてるかは言わずものがな。
「ほい、クッキー&クリーム。」
「あ、有難う。頂きます。」
風呂上がりのアイスは堪らん。蓮は、生ビールを美味しそうに飲んでる。ビールは苦くて飲めない。
「気分転換になった?」
「うん、なった!まさか、温泉だとは思わなかったし。また、大阪居る間に来たいなぁ。」
「いいよ、また来よう。」
3時間程滞在して、帰宅。1人向け滞在型ホテルだから、ベッドはシングル。昨夜は一緒に寝たけど流石に狭い。俺が体格も小さいのでソファーに寝る。
「大丈夫?俺ソファーでもいいよ。」
「うん、大丈夫。ソファーデカイし。」
長湯してマッサージ。いい感じに眠りを誘う。
蓮の朝は早い。いつも俺を起こさない様に静かに出勤する。
「朝ご飯位、一緒にたべたいのになぁ。」
大阪に来て数日。毎日、朝昼は1人で食べる。朝が早い分、帰宅はかなり早い。家事して、テレビでも観てたら4時前には帰ってくる。
「ん~、もうすぐ帰って来るか。夕飯何しようかな。」
「凛、緊急事態だ。」
おわっ!ビックリした。ガブリエルだ。
「な、何?緊急事態って?」
「ナイトウォーカー達が来る。規模は50人位だ。」
はぁ?何で昼間動けない奴らが、いきなり大勢で来るんだ?
「どうやって、来たんだ?今、何処にいる?」
「船の貨物に紛れてきた様だ。日本にはまだ戦えるエクソシストが居ない。君らに掛かってる。」
「俺と蓮しか居ないのに、50人は無理だ。どうしよう。」
「ケンを呼べ。彼にはもうディウォーカーの事は話した。」
3人でも、ギリギリだ。華達を呼ぶか?
「ただ今。あれ、ガブリエル。なんでいんの?」
「ケンがどれだけの力か分からないな。」
「2人分の働きはするだろう。武器は渡してある。」
「今夜か?」
「あぁ、そうだ。ケンは華と同じ力がある。呼べば良い。」
夕暮れ、港付近に来た。臭う。アイツらの臭いだ。
「攻撃的なナイトウォーカーだ。気を付けろ。」
ガブリエルはそう言って去った。
攻撃的。3人で大丈夫だろうか。俺はちゃんと戦えるのか?
臭いがキツくなったと思った瞬間、後頭部に激痛が走り気を失った。
「凛!クソッ!ケンッ来い!」
俺はネックレスに触れ、強くケンを呼ぶ。
「蓮、来たよ!」
「凛が、連れていかれた!追いかけるから、後ろを頼む!」
凛は気を失い、ナイトウォーカーの腕の中だ。見失わない様に必死に追いかける。
「邪魔だッ!失せろっ!」
後ろでも、必死にケンが倒してる。手が足りない。
「華ッ!来い!凛がヤバイ!」
ネックレスに触れるかどうかと同時に華と健太が現れた。
「姫を追って!後は私達がカバーする。見失わないで!」
また、あの時の二の舞は嫌だ。襲って来る奴らから、身をかわし凛を追う。何故、凛を狙う?どんなに身体を交えても凛の力は奪えないのに!
「凛っ!起きろ!目を覚ませっ!」
やっと、凛を抱くナイトウォーカーに追い付く。
「汚い手で、凛に触るなぁっ!」
奴に斬りかかる。コイツがリーダーか?軽い身のこなしで、俺の攻撃をかわす。
笑ってやがる。言葉は分からないが、馬鹿にされてるのは分かる。
その時、凛が身体を動かした。目を覚ましたかっ!
「イッテェ・・、クソッ捕まってんのか!」
身を捩り、抜け出そうともがく。蓮が攻撃をするも慣れた様子でかわしてる。片腕に俺を担いだまま。長い髪の毛の間から、首筋が見えた。俺は奴の首に噛み付き肉を咬みちぎった。溢れ出す濁った死臭のする血液。俺を離し、首を押さえるナイトウォーカー。武器を出し、ザクッと首を大鎌で切り落とす。
「ハァ、ハァ。大丈夫か?凛。」
「うん、平気。ごめん、また油断した。」
「油断じゃない。最初から凛目的だ。ドイツの奴と違って特に能力も無くて良かった。」
また飛ばれたら、監禁される。
「ちょっと、頭痛い位。他の奴らは?」
「ちょっと手強かったから、全員呼んだ。」
背後で、雑魚達を見事に切り裂く華。健太も慣れて来たみたいだ。ケンは初めてなのに、物凄い勢いで次々に倒している。
「ケンは、キレたら怖いな。」
た、確かに。俺たちが参戦するまでも無く、全滅に時間はかからなかった。
「ふぅ、いきなりだったから驚いたわ。健太が先に気づいたの。姫の痛みに。」
「そうか、だから来るの早かったんだな。」
「凛、大丈夫?何ともない?」
ついさっきまで、怒りに満ちて暴れていたとは思えない位いつも通りのケン。
「殴られたんでしょ?怪我は?」
デカイ身体を屈めてオロオロしてる。
「大丈夫。今回の奴等は攻撃的って聞いてたのに油断した。」
「確かに攻撃的だったわ。今までのはせいぜい抗う程度だったのに、完全に殺すつもりで襲って来たわ。」
取り敢えず、全員無事で良かった。結局、俺は1人しか倒してないけど。
華と健太は明日があるので直ぐに引き揚げた。問題は、ケン。その、蓮が居ない間に問題を起こして以来の再会。気まづい。
「あの、あのさ、助けに来てくれて有難う。もう大丈夫だから帰ってもいいよ。」
出来るだけ、距離を取って会話する。蓮の目の前で、ハグされるのは嫌だから。
「そんなに、追い帰さなくて良いよ。飯位、食って帰れば?」
蓮~、人の気も知らないで。大通りまで歩く。蓮を真ん中にして。
「あからさまに、逃げてるな。俺が居るから手出しさせないから。ギクシャクしない。」
いや、ギクシャクにもなるだろ?だって、その、浮気?相手だぞ。ケンからのボディタッチを警戒して蓮の傍に立つ。
「僕の事、嫌いになった?ねぇ、凛。僕の事、嫌い?」
「嫌われるような事をしなきゃ、嫌われないと思うけどな。」
蓮の一言で、ケンはシュンとなり、
「僕、帰るよ。また何かあったら呼んでね。」
フッと姿を消した。
うーん。警戒し過ぎたかな。わざわざ来てくれたのに。
「ちょっと、冷たかったな。そんなにケンの事、苦手になった?」
「苦手というか、蓮の前で抱き着かれたりするのは嫌だ。」
「俺が居なきゃ良いの?」
「そういう問題じゃない。2人っきりになりたくない。分からない?」
ちょっとイラついて、強く言ってしまった。
「ごめん、ごめん。分かってるよ。ケンは何時も本気で来るから、拒めないんだよな。だから、また繰り返すかも知れない怖さがあるんだろ?」
「・・・分かってるなら、良いよ。」
そう、彼は何時も本気で愛を伝える。だから、流されてしまう自分が情けない。ディウォーカーと分かった今、抵抗しても多分敵わない。2人っきりになるのは避けなきゃいけないんだ。
なんかケンに塩対応してしまい、凹んでしまった。蓮と居ても会話が無い。
「風呂行くか?あそこ24時間営業だから、ゆっくり入れるし。」
「ん~、どうしようかな。」
「いつまで落ち込むな。ケンへの態度はアレが当たり前だ。警戒しない方がおかしい。」
「うん、そうだね。行こうかな、銭湯。」
深夜帯だから、人も少なくゆっくり汗を流せた。蓮にまで気を使わせてしまった。
部屋に戻って、蓮に甘える。さ、誘うのは未だに慣れないけど。
「気、使い過ぎ。今日は大変だったから休もう?」
あれ?しなくて良いの?何時もなら、何があっても押し倒して来るのに。
「お、俺、魅力無くなった?マンネリしてるなら、努力するから。」
「魅力が無くなる?そんな事有るわけ無いだろ。ホレ。」
蓮の下半身は、その、元気一杯だった。
俺がキョトンとして蓮を見上げてたら
「そんな可愛い顔するな。これでも我慢してんだから。」
フワッと抱き上げられ、ベッドに寝かされた。蓮は、布団を持ってソファーに横になる。
「交代ばんこ。いつもソファーじゃ身体痛める。ゆっくり休んで。お休み。」
「・・・うん、お休み。」
その、俺はヤル気だったから、息子が元気だ。どうしよう。まだ蓮、起きてるかな?トイレ行って抜くか。
そっと歩いてトイレへ。声出さないようにタオルを咥える。ズボンを下着ごと下ろしてセルフバーニング。まぁ1人エッチだ。唾液で手を濡らし滑りを良くする。ヌチャッヌチャッと音がする。音漏れしなきゃ良いんだけど。
(んっ、早く出して寝よっ)
出すだけの為の行為だから、最初から強く扱く。だけど双丘の奥が疼く。指を口に含み濡らして蕾に入れる。自分で入れるから奥まで届かない。それでも、気持ちよくて気がついたら前を触らず、必死に指を出し入れしてた。
(んんっ、蓮が欲しいっ!)
蓮の指を思い出しながら、コリコリと良い所を刺激する。強く押したら射精してしまった。
(でも。まだだっ、ん、あぁ良いっ)
ナカイキは無理でももう少し弄らないと腹の疼きが収まらない。身体を丸め、指を根元まで入れ、ピストンする。グチュグチュと汁が垂れてきていやらしい音がする。
(ンアッ、イ、イケそうっ)
顎が上がり、オーガズムがそこまで来てる。
(ああっ!イ、イクッ!)
ガチャ。トイレのドアが開いた。俺は猥らにも程があるだろ的な格好。蓮と目が合った瞬間、ビクビクッと後ろだけで達してしまった。
「いいもん、みちゃったなぁ。今回は生で。」
「・・・消えたい・・」
男の子だもん、たまには抜かないと、と慰められたが見られた、しかも2回目の気持ちはわからないだろっ。あの動画、まだ消してないらしいし。
「そんなにシタかったなら、もっと強引に誘わないと分からないよ。」
笑いながら言ってる。
「も、もう寝るっ」
ベッドに潜り込んだ。
「良いなぁ、1人だけスッキリして。俺、今からだよ、相手してくんないの?」
「しないっ!俺も1人で処理したんだから、蓮も1人でやって!」
多分、顔は真っ赤だ。スッキリ?スッキリしてると思う?してる訳ないじゃん!まだ身体、疼いてるよ!でも、そんな事言えなくて、悶々としたまま夜がふける。
「あと5日で、家に帰れるな。当分、出張は入れないぞ。」
「最後までいた方が良い?家も少し心配なんだけど。」
「そだな。明日帰る?俺の荷物、宅配で送るから。」
「分かった。じゃ明日帰るよ。少し片付けるか。」
「片付けは良いから、イチャイチャしよ~、家には華が居るから出来ないしぃ。」
腰に抱きついてきた。まだ昼前。時間早いです。
「帰ったらさ、華にカミーノの話しようかなと思ってる。」
「え?また行くの?」
「カミーノは、何度歩いてもステキな場所だよ。」
「いや、分かるけどさぁ。俺行けないよ。流石に。」
「うん、3度目だから俺だけでも行ける。」
「ひ、1人は駄目っ!華行かせよう!なっ?1人は駄目だよ?」
会話しながら、俺のズボンを下ろそうとしてる手と戦う。
「ズボン、伸びちゃうよ、離してっ!」
ケツに顔埋めて
「カミーノ反対~!」
屁でもこいたろうかな、と本気で考える。
結局、抵抗も虚しく真昼間にヤリました。どうやら、1人エッチの事、根に持ってたみたい。
「・・だがら、びるま、じだぐながっだのに!」
声、枯れました。勿論、夕食&スィーツを要求して使いっ走りさせたけど。1人で明日帰るのに、どうすんだよ。またナンパの嵐かよ。ウンザリする。
「華?今から飛行機乗るから。お土産買ったからね。」
〔電話越しでも、エロオーラッて分かるんだね。まあ。お楽しみになられて。じゃね。〕
はぁ、またバレた。本当、健太使って覗いてないか?怖くて聞けないけど。
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